卵の離乳食はいつから?量・進め方・冷凍・レシピを厚労省ガイドと論文で解説

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「卵はアレルギーが心配だから、なるべく遅らせたい」——少し前まで、これは離乳食の常識でした。

でも今は、考え方が変わっています。むしろ早めに始めたほうが、卵アレルギーになりにくいことが研究で分かってきたからです。

この記事では、厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」と、国立成育医療研究センターが2016年に発表したPETIT研究をもとに、いつ・どのくらい・どう進めればいいのかを、やさしく説明します。冷凍やレシピ、ペースまで一通り触れるので、まずこの記事を読めば全体像がつかめます。

結論:いつから・どのくらい・どの順番?

厚労省ガイドに書かれている卵の進め方を、月齢別に整理するとこうなります。

時期 月齢 あげるもの 1日あたりの目安
離乳初期 5〜6か月頃 固ゆで卵の卵黄のみ 耳かき1杯 → スプーン1さじ
離乳中期 7〜8か月頃 卵黄1個 → 全卵へ 卵黄1個分 〜 全卵1/3個
離乳後期 9〜11か月頃 全卵 全卵1/2個
離乳完了期 1歳〜1歳6か月 全卵 全卵1/2〜2/3個

これは厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」の「離乳の進め方の目安」に記載されている量です。

順番は卵黄 → 卵白を少し → 全卵の3ステップ。卵白のほうがアレルギーを起こしやすいので、まずは卵黄だけから始めるのが基本です。

もし「7か月から始めたい」という場合も、いきなり卵黄1個ではなく、5〜6か月の赤ちゃんと同じく耳かき1杯からスタートし、徐々に量を増やしていきます。月齢ではなく「初めての卵かどうか」で量を決めるのがポイントです。

なぜ「早くあげる」に変わったの?

離乳食のルールが変わったきっかけは、日本の国立成育医療研究センターが発表した「PETIT研究」です。2016年12月に医学雑誌「The Lancet」に掲載されました。ランダム化比較試験という、医学研究の中でも特に信頼性の高い方法で行われた研究です。

研究の内容を、ものすごくかみ砕いて説明します。

まず、生後4〜5か月で湿疹(アトピー性皮膚炎)がある赤ちゃんを、ランダムに2グループに分けました。もともと食物アレルギーが出やすい体質の赤ちゃんが対象です。生後6か月から、片方のグループには加熱した全卵の粉をごく少量(最初は1日50mg、小さじ何分の1ほどの量)、もう片方にはかぼちゃの粉をあげ続けました。両グループとも、皮膚炎の治療はしっかり行いました。

そして1歳のときに卵アレルギーになった子の数を比べたところ、卵をあげていたグループは、かぼちゃだけのグループに比べて、卵アレルギーになった子が約8割少なかったのです。それまでの「卵は遅らせたほうがいい」という常識を、根本からひっくり返す結果でした。

ただし、これは「アトピー性皮膚炎がある赤ちゃん」を対象にした研究結果です。湿疹のない健康な赤ちゃんでも「早めに始めたほうがよい」という方向性は同じですが、効果の数字がそのまま当てはまるわけではない点に注意してください。

なぜ早くあげると予防になるの?

「食べると悪化しそうなのに、なぜ予防になるの?」と思いますよね。これには「二重暴露仮説」という考え方があります。体は、食べ物が入ってくる場所によって反応が違うのです。

侵入ルート 体の反応 結果
口から食べる 「これは食べ物だ、安全だ」と覚える アレルギーになりにくい
湿疹のある皮膚から入る 「これは敵だ、攻撃しよう」と覚える アレルギーになりやすい

つまり、口からあげる前に、湿疹のある皮膚から卵の成分が入ってしまうと、体が卵を「敵」として記憶してしまい、アレルギーになりやすくなる、という仕組みです。国立成育医療研究センターによれば、家庭内のアレルゲンは環境中にアレルギー反応を起こすほどの濃度で存在していることが分かっており、卵を口からあげなくても空気中の成分が皮膚から入ってしまう可能性があります。それなら、皮膚から入る前に口からきちんと食べさせて「これは安全」と教えてあげたほうがいい、という理屈です。

時期別の進め方

各時期のポイントを一覧で見るとこうなります。

時期 形状 量の目安 調理のポイント
初期(5〜6か月) 裏ごし・なめらか 耳かき1杯 → スプーン1さじ 固ゆで卵黄のみ。湯ざましやおかゆで伸ばす
中期(7〜8か月) すりつぶし・粗つぶし 卵黄1個 → 全卵1/3個 卵白を少量から試し、慣れたら全卵へ
後期(9〜11か月) やわらかい固形 全卵1/2個 薄焼き卵で手づかみ食べにも対応
完了期(1歳〜1歳6か月) 大人より少しやわらかい 全卵1/2〜2/3個 完全加熱なら卵料理全般OK。生卵・半熟はNG

離乳初期(5〜6か月頃):固ゆで卵の卵黄から

離乳食を始めて、おかゆ・野菜・豆腐や白身魚などに慣れてきたら、卵黄に進みます。だいたい離乳食を始めて1か月ほどたった頃が目安です。

作り方の手順はこうです。卵を冷蔵庫から出して、沸騰したお湯で20分しっかりゆでます。ゆで上がったら、すぐに冷水につけて冷まし、放置せず殻をむいて卵黄と卵白を分けます(時間が経つと卵白の成分が卵黄に移ってしまうため)。卵黄だけを取り出し、湯ざましやおかゆで伸ばしてなめらかにすれば完成です。

厚労省ガイドでも、卵をあげるときは「固ゆでした卵黄」を使うこと、「離乳食用のスプーンで1さじから」始めて子どもの様子を見ながら量を増やすことが示されています。心配なら耳かき1杯程度のごく少量から。問題なければ、スプーン1杯まで少しずつ増やしていきます。

離乳中期(7〜8か月頃):卵黄1個 → 卵白を試す → 全卵

卵黄が問題なく食べられるようになったら、量を少しずつ増やして卵黄1個分くらいまで進めます。1〜2か月かけてゆっくり増やせばOK。

卵黄に慣れたら、いよいよ卵白に進みます。卵白は卵黄よりもアレルギーが出やすいので、最初はごく少量から。固ゆで卵の卵白をすりつぶして、耳かき1杯〜スプーン1杯ぶん試します。問題なければ少しずつ量を増やし、最終的に全卵1/3個まで進めます。

離乳後期(9〜11か月頃):全卵1/2個

全卵に慣れてきたら、量を1/2個まで増やしていきます。この時期は手づかみ食べが始まる頃なので、薄焼き卵を細く切って手づかみメニューにするのもおすすめです。

離乳完了期(1歳〜1歳6か月):全卵1/2〜2/3個

大人と同じような卵料理が食べられるようになります。ただし生卵・半熟卵はまだNG。完全に火が通った状態であげましょう。マヨネーズも生卵が使われているので、加熱料理に少量入れる程度から始めます。

卵料理いつからOK?早見表

卵を使った料理それぞれの「開始してよい時期」をまとめました。

料理・食品 開始時期の目安 注意点
卵黄(固ゆで) 離乳初期(5〜6か月) 20分しっかり加熱
卵白(固ゆで) 離乳中期(7〜8か月) 卵黄1個分クリア後、少量から
卵焼き・薄焼き卵 離乳中期〜後期 中まで完全に加熱、半熟NG
茶碗蒸し 離乳後期〜完了期 だしの塩分に注意
卵ボーロ 卵白クリア後 製造工程で卵白を含むことが多い
マヨネーズ 1歳半以降が目安 生卵使用、加熱料理から少量
半熟卵・温泉卵 2歳以降 サルモネラ菌・アレルゲンリスク
生卵(卵かけご飯) 3歳以降推奨 食中毒リスクが高い

冷凍ストックの基本

離乳初期は1回の量が少ないので、毎回ゆでるのは大変。固ゆで卵黄は冷凍保存できます。卵黄と卵白で扱いが違うので、表で整理します。

  卵黄 卵白
冷凍可否 ○ 可能 × 不向き(食感が悪化)
下ごしらえ 固ゆで → 裏ごし 使うときに調理
冷凍方法 製氷皿や小分け容器に1回分ずつ
保存期間 1週間以内
解凍方法 電子レンジで再加熱
注意点 解凍時も必ず再加熱

冷凍した卵黄は、湯ざましやおかゆで伸ばしてから使います。解凍するときも必ず再加熱するのがポイント。冷凍したからといって生で食べさせるのはNGです。

時期別のかんたんレシピ

各時期のおすすめレシピを1品ずつ紹介します。

初期(5〜6か月):卵黄がゆ
固ゆでにした卵黄を耳かき1杯〜スプーン1杯すりつぶし、10倍がゆに混ぜるだけ。卵黄のパサつきがおかゆで和らいで食べやすくなります。

中期(7〜8か月):豆腐と卵の出汁あんかけ
絹ごし豆腐を小さく切ってだし汁で煮て、最後に溶いた全卵を回し入れて完全に火を通します。水溶き片栗粉でとろみをつけると、舌でつぶせる柔らかさになります。

後期(9〜11か月):薄焼き卵の手づかみスティック
全卵を溶いてフライパンで薄く焼き、細く切るだけ。手づかみ食べの練習にもなり、ほうれん草やにんじんを刻んで混ぜれば栄養もアップします。

完了期(1歳〜1歳6か月):ふわふわ卵チャーハン
軟飯に溶き卵を混ぜてフライパンで炒めるだけ。野菜を刻んで一緒に炒めると一品で完結します。味付けは少量のしょうゆで十分です。

頻度・ペース:毎日?何日おき?

初めての食材を試す時期は、2〜3日おきにあげるのが基本です。アレルギー症状は時間が経ってから出ることもあるため、間隔をあけて様子を観察するためです。

1か月ほど続けて問題がなく、卵に体が慣れてきたら、毎日あげても大丈夫です。離乳中期以降はタンパク源として活用できる便利な食材なので、肉や魚と組み合わせてバランスよく取り入れましょう。

ただし、卵だけに偏らないよう注意。タンパク質は豆腐・白身魚・鶏ささみなど他の食材とローテーションするのが理想です。

アレルギー症状の見極め

食物アレルギーの症状は、食べてから2時間以内に出ることが多いです。食べさせた後は、口の周り・顔・体に発疹がないか、機嫌、便の状態などをよく観察しましょう。

初めての食材は、もし症状が出たときにすぐ病院に行けるよう、平日の午前中にあげるのが安心です。週末・夜間・連休前は避けましょう。

食べてすぐ・数時間以内に以下の症状が出たら、すぐに病院へ。

  • 口の周りや顔の赤み・発疹・じんましん
  • 嘔吐、下痢
  • 咳、ゼーゼーする音、呼吸が苦しそう
  • ぐったりして元気がない、意識がぼんやりする

呼吸困難・意識低下があれば、迷わず119番。それ以外は、症状が出た時刻・食べた量・調理方法・他に食べたものをメモして小児科を受診してください。

よくある質問

Q. アトピー性皮膚炎があります。卵はあげても大丈夫?
アトピー性皮膚炎がある赤ちゃんは、卵アレルギーのリスクが高いことが知られています。だからといって遅らせるのはむしろ逆効果。PETIT研究でも、皮膚炎をしっかり治療しながら6か月から少しずつ卵をあげたグループのほうが、アレルギー発症が大幅に少なかったことが示されています。かかりつけの小児科やアレルギー専門医に相談しながら、皮膚の治療と並行して進めるのが大事です。

Q. 親が卵アレルギーです。子どももアレルギーになりやすい?
親にアレルギーがある場合、赤ちゃんもなりやすい傾向があります。心配な場合は、離乳食を始める前にかかりつけ医に相談しましょう。ただし、それを理由に卵を遅らせるのは推奨されていません。

Q. 離乳食を始める前に、アレルギー検査をしておいたほうがいい?
いいえ、必要ありません。厚労省ガイドには、離乳食開始前のアレルギー血液検査の必要性は書かれていません。検査で陽性が出ても実際は食べられる子も多く、不必要に食べ物を制限することは推奨されていません。

Q. 妊娠中・授乳中、私が卵を食べないほうがいい?
食べて大丈夫です。厚労省ガイドには「子どものアレルギー疾患予防のために、母親の食事は特定の食品を極端に避けたり、過剰に摂取する必要はない。バランスのよい食事が重要である」と明記されています。

Q. 卵黄がパサパサして食べてくれません
卵黄はぼそぼそしていて、そのままだと食べにくいです。おかゆ・出汁・湯ざましで伸ばす、豆腐や野菜のペーストに混ぜる、などの工夫をしてみてください。

Q. 数日あげるのを忘れてしまいました。再開していい?
1〜2週間以上空いてしまった場合は、念のため量を一段階前に戻して再開しましょう。

Q. 加熱はどこまで必要?半熟卵はダメ?
離乳食期は必ず中までしっかり火を通した卵をあげてください。半熟卵・温泉卵・生卵はNG。加熱が不十分だとアレルゲン性が高くなる上、サルモネラ菌などの食中毒リスクもあります。

まとめ

  • 卵は5〜6か月頃から「固ゆで卵の卵黄」を耳かき1杯から始める
  • 遅らせるとむしろアレルギーリスクが上がる可能性(PETIT研究で示唆)
  • 順番は卵黄 → 卵白を少し → 全卵
  • 必ず20分しっかりゆでる。半熟・生卵はNG
  • 初めての食材は平日の午前中、最初は2〜3日おきに
  • 卵黄は冷凍ストック可能(1週間以内に使い切る)
  • アトピーがある赤ちゃんは、皮膚の治療と並行して医師と相談しながら進める

「アレルギーが怖いから遅らせる」は古い考え方。正しいタイミングで、正しい量を、正しい方法であげるのが、いちばんの予防策です。

参考資料(一次情報)

  1. 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04250.html(本体PDF)
  2. 国立成育医療研究センター「離乳期早期の鶏卵摂取は鶏卵アレルギー発症を予防することを発見」(2016年12月) https://www.ncchd.go.jp/press/2016/egg.html
  3. Natsume O, Kabashima S, Nakazato J, et al. Two-step egg introduction for prevention of egg allergy in high-risk infants with eczema (PETIT): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet. 2017;389(10066):276-286. DOI: 10.1016/S0140-6736(16)31418-0
  4. 千葉大学病院 アレルギー疾患情報サイト「アレルギー発症予防」 https://www.ho.chiba-u.ac.jp/allergy/yobo/yobo.html

本記事は厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」および国立成育医療研究センター発表のPETIT研究(Lancet, 2017)など、公的機関と査読付き論文に基づき作成しています。記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療判断に代わるものではありません。アレルギー症状や個別の進め方に不安がある場合は、必ず小児科またはアレルギー専門医にご相談ください。

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