保育士の仕事内容をわかりやすく解説|1日の流れ・年収・なる方法まで公的データで紹介

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保育士の仕事を調べていると、サイトによって書いてあることがちょっとずつ違っていて、結局のところ「実際にはどんな仕事なんだろう」とモヤモヤしませんか。

たしかに保育士の仕事は、子どもの保育を中心に、保護者対応や書類作成、感染症対策、行事の運営まで幅広く、全体像をつかむのが意外と難しいんですよね。

この記事では、PULMO編集部が厚生労働省やこども家庭庁の公的データをひと通り読み解いて、保育士の仕事内容をできるだけわかりやすくまとめました。これから保育士を目指す方も、改めて整理したい方も、一緒に見ていきましょう。

編集部メモ:本記事のデータは2026年5月時点でPULMO編集部が公開情報(厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)、保育所保育指針解説(平成30年)、こども家庭庁 令和7年度予算案資料、保育人材確保にむけた効果的な取組手法等に関する調査研究報告書(令和7年3月)、こども家庭庁「保育士の有効求人倍率の推移」(令和7年12月)、こども家庭庁「保育士試験の実施状況(令和6年度)」、教育訓練給付金案内)をもとに作成したものです。制度・統計は変更される可能性があるので、最新情報は各省庁の公式サイトでご確認ください。

保育士の仕事の全体像

まずは保育士の仕事を一言で表してみます。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、こう定義されています。

「専門的知識と技術をもって、子どもの保育を行うとともに、保護者に対し子育てに関する支援や助言・指導を行う」

つまり、子どもの保育だけでなく、保護者支援まで含めた専門職です。「子どもと遊んでいる仕事」というイメージとは、ずいぶん違うかもしれません。

保育の内容は「5領域」で整理されている

保育所保育指針(平成30年告示)では、保育の内容を「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域に整理しています。保育士の仕事は、この5領域すべてにまたがります。

領域 ねらい 具体的な仕事の例
健康 健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力を培う 食事の介助・しつけ、午睡の見守り、排泄の援助、手洗い・うがいの指導、体調観察、感染症対策
人間関係 他の人々と親しみ、支え合って生活するために、自立心を育て、人と関わる力を養う 集団遊びの企画、友だち同士のトラブル仲裁、ルールのある遊びの導入、当番活動の指導
環境 周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う 自然観察(虫取り・園庭の植物)、季節の制作活動、数や図形に触れる遊びの設定
言葉 経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う 絵本の読み聞かせ、連絡ノートの記入、子どもの発話を促す声かけ、しりとり・カルタなどの言葉遊び
表現 感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする お絵描き・工作の指導、ピアノの伴奏、リズム遊び、劇や歌の発表会準備

出典:保育所保育指針解説(平成30年2月・厚生労働省)第2章「保育の内容」よりPULMO編集部が整理。

大事なのは、保育士はこの5領域を時間割のように切り分けるわけではなく、日々の生活や遊びのなかで自然に組み合わせて働きかけていること。たとえば「砂場で山をつくる」遊びひとつとっても、体を動かす(健康)、友だちと協力する(人間関係)、砂の感触を知る(環境)、言葉で伝え合う(言葉)、形をつくる(表現)──気がつけば5領域すべてが入っています。

0歳児〜5歳児で変わる仕事内容

保育所には0歳から6歳までの子どもがいるので、担当する子どもの年齢によって、仕事の中身がかなり変わります。年齢別に、どんな場面で働くのかを見ていきます。

年齢別

0歳児(乳児保育)

0歳児担当の保育士は、身体的なケアの比重が一番大きい仕事です。授乳(ミルクや母乳の管理)、おむつ交換、午睡の管理、離乳食の介助が中心。一人ひとり生活リズムが違うので、個別対応が求められます。

たとえば朝、保護者から「昨夜あまり寝られなかった」と聞いたら、午前中の遊びを少し抑えて午睡を早めに調整。授乳の時間や量はノートに細かく記録して、お迎えのときに保護者へその日の様子を伝えます。発達のサインを見逃さないよう、一人ひとりをじっくり観察するのも大事な仕事です。

配置基準は子ども3人に保育士1人(3:1)。もっとも手厚い配置が必要な年齢です。

1〜2歳児

歩行が始まり、言葉も出てくる時期。食事の自立(スプーンやフォークの使い方)、トイレトレーニング、着替えの練習など、「自分でやりたい」気持ちを支える関わりが増えます。この年齢から保育内容は5領域で整理されます。

たとえばお昼ごはんで「自分でスプーンを使いたい」と頑張る子に、こぼしてしまっても見守りつつ、必要なときだけ手を添える。トイレでうまくできたら一緒に喜び、できなくても「次は大丈夫」と励ます。イヤイヤ期の子には、選択肢を2つ提示して自分で選んでもらう工夫も。

配置基準は子ども6人に保育士1人(6:1)。ただし2025年度からこども家庭庁の予算措置で、1歳児は5:1への改善が進められています。制度発足以来75年間で初めての改善です。

3歳児

集団生活のルールを学び始める時期。友だちとのやりとりが活発になるぶん、トラブルも増え、保育士が仲裁や声かけをする場面が多くなります。制作活動や運動遊びの幅も広がるので、活動の準備にかかる時間も増えてきます。

たとえばお友だちのおもちゃを取ろうとした子に、「○○ちゃんも使いたかったんだね、『貸して』って言ってみようか」と声をかける。集団でのお絵描きの時間には、活動の手順を絵カードで示して、見通しを持って取り組めるように工夫する。月1回の制作テーマを考えて、当日までに材料を揃えるのも保育士の仕事です。

配置基準は子ども15人に保育士1人(15:1、2024年度に20:1から改善)。

4〜5歳児

小学校入学を見据えた「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」を意識した保育が中心に。集団でのルール遊び、当番活動、行事(運動会・発表会)の準備、文字や数への興味を引き出す環境づくりなど、教育的な要素が強くなります。5歳児クラスでは、小学校との接続を意識した活動(小学校訪問、生活リズムの調整など)も加わります。

たとえば卒園を控えた3月、ひらがなで自分の名前を書く練習や、時計の読み方を一緒に学ぶ時間も。運動会では、子どもたちと相談しながら出し物を決めて、リレーの順番や役割を話し合います。「もうすぐ1年生」という気持ちを応援しながら、生活リズムも小学校に近づけていきます。

配置基準は子ども25人に保育士1人(25:1、2024年度に30:1から75年ぶりに改善)。

配置基準の改善はこども家庭庁「子どものための教育・保育給付交付金の令和7年度予算案の主な内容について」(2025年3月)p.2-3より。

認可保育所での1日のスケジュール

1日の流れも、これから保育士を目指す方によく聞かれるポイント。施設によって変わりますが、認可保育所の一般的な1日はこんなイメージです。

時間帯 主な業務
7:00〜8:30 早番出勤・開園準備、登園受け入れ(子どもの体調確認、保護者との会話)
9:00〜9:30 朝の会(出欠確認、歌、手遊びなど)
9:30〜11:00 主活動(散歩、制作、リズム遊び、園庭遊びなど。年齢に応じた計画的な活動)
11:00〜12:00 昼食(配膳、食事の介助、食育の指導、片付け)
12:00〜14:30 午睡(寝かしつけ、呼吸チェック)。この間に交替で休憩、書類作成、教材準備
15:00 おやつ
15:30〜16:30 午後の活動(自由遊び、帰りの会)、降園対応(保護者へその日の様子を伝える)
16:30〜19:00 延長保育、遅番対応、清掃・消毒、翌日の準備、保育日誌の記入

たとえば登園時、いつもより元気がない子の額をそっと触ってみると、少し熱っぽい。保護者に確認して「お昼に検温して、また連絡しますね」と伝える。午睡中は5分おきに呼吸と寝姿勢をチェックしながら、その日の保育日誌を書き、明日の制作の材料を準備する。お迎えのとき、「今日、初めてお友だちに『ありがとう』って言えたんですよ」と保護者に共有して、一緒に喜び合う場面もあります。

編集部メモ:保育士の勤務は、早番(7:00〜16:00)・中番(8:30〜17:30)・遅番(10:00〜19:00)などのシフト制が一般的です。児童養護施設など24時間体制の施設では夜勤もあります(job tag「労働条件の特徴」より)。

22のタスクで見る、具体的な業務

もう少し具体的に、保育士が実際にどんな業務にあたっているのかを見ていきます。厚生労働省のjob tagでは、保育士の仕事を22のタスクに分けて、それぞれの「実施率」と「重要度(5点満点)」を公開しています。他のサイトではあまり紹介されていないデータです。

重要度の高いタスクTOP10

まず、保育士自身が「とくに重要」と評価しているタスクのトップ10から。

順位 タスク内容 実施率 重要度
1 乳幼児の健康状態を見守り、病気や事故の場合は保護者や医療機関と連絡を取る 98.3% 4.4
2 一人ひとりの発達状況を把握し、健やかな成長のために適切な介助や指導をする 100% 4.2
3 備品の消毒など感染症対策をする 100% 4.0
4 子どもたちの発達段階に応じた幼児教育をする 98.3% 4.0
5 基本的な日常生活習慣を子どもに教える 98.3% 3.9
6 遊びを通して人との関わり、言語能力、運動能力、知的能力を育てる 100% 3.9
7 子どもを観察して保育日誌や連絡ノートをつけ、保護者へその日の活動や様子を伝える 100% 3.9
8 障害のある子どもの支援計画を立て、療育を行う 89.5% 3.9
9 子どものための食事の準備をし、食事の介助やしつけをする 100% 3.8
10 保育所の清掃や、家具・備品の修繕など、保育環境を整備する 100% 3.8

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「保育士」のタスクデータより、PULMO編集部が重要度順に並べ替え。

注目したいのは、重要度トップが「健康管理」(4.4)だということ。子どもと遊ぶことよりも、子どもの安全と健康を守ることが、保育士にとって一番大切な仕事だとわかります。感染症対策(4.0)も上位に入っていて、コロナ以降ますます比重が増している印象です。

その他のタスク12項目

続いて、トップ10以外の12項目。書類作成や新人指導など、子どもへの直接的な関わり以外の仕事も意外と多いことがわかります。

タスク内容 実施率 重要度
衣服の着脱、玩具や本の整理など身辺整理の指導 100% 3.7
必要に応じて保護者を支援する 98.3% 3.7
必要に応じて小学校などの関係機関と連携する 91.2% 3.7
保育計画や報告書などの書類を作成する 98.3% 3.5
各種行事の準備や運営を行う 100% 3.5
新人の教育やミスをしたスタッフの指導を行う 94.7% 3.4
クラスだよりなど保護者向けの資料を作成する 94.7% 3.3
幼児教育の教材を作成する 93.0% 3.3
ゲームなどのレクリエーション活動を計画して運営する 100% 3.2
ピアノや楽器を使って音楽の指導をする 89.5% 3.1
子どもを入浴させたり、プールで水遊びをさせたりする 100% 3.1
水泳や体操教室での指導や、その補助をする 77.2% 3.1

このデータから見えてくるのは、保育士の仕事が大きく5つの柱に分けられるということ。

  • 子どもとの直接的な関わり(保育・教育・健康管理)
  • 保護者対応(連絡帳・面談・相談)
  • 書類・事務(保育計画・日誌・クラスだより)
  • 環境整備(清掃・消毒・教材準備)
  • 後輩指導(新人教育・スタッフ指導)

保育士のやりがいと向いている人

仕事内容を見たうえで気になるのが、「自分に向いているのかな」というところ。job tagのデータから見えてくる、保育士のやりがいと適性を見ていきます。

保育士が満足を得やすいポイント

job tagの「仕事価値観」データでは、保育士は次の項目で高い満足度を得やすいと出ています。

項目 満足度(5点満点)
専門性 3.8
自己成長 3.8
達成感 3.7
奉仕・社会貢献 3.6

子どもの成長を間近で見守って、「できなかったことができるようになった瞬間」に立ち会えるのは、保育士ならではのやりがいです。

保育士に向いている人の特徴

job tagのスキルデータと求められる知識からは、こんな特徴を持つ人が保育士に向いていそうです。

  • 傾聴力が高い(スキルデータで4.3/7と最高スコア。子どもの気持ちを言葉以外のサインからも読み取れる)
  • 指導力がある(3.8/7。生活習慣や遊びのルールをわかりやすく伝えられる)
  • 他者の反応を理解できる(3.7/7。泣いている理由、怒っている理由を察知できる)
  • 体力がある(持久力3.2/5、歩行・走行3.8/5。1日中動き回れる体力が必要)
  • チームで働ける(グループやチームでの仕事3.9/5。複数担任制が一般的)
  • 心理学・教育の知識に興味がある(必要な知識で「教育訓練」2.6/5、「心理学」2.4/5が上位)

保育所保育指針の「就業するには」では、「子どもが好きで、理解と愛情を持ち、責任感があること」「応急処置などの知識やスキル」「根気強くそれぞれの話を聞いたり行動を待ったりする忍耐力」「コミュニケーション能力」が求められると書かれています。

大変なこと:現場のリアル

やりがいの一方で、保育士の仕事には大変な面もあります。これも公的データから見ていきます。

満足度が低い項目

job tagの「仕事価値観」データで、保育士が満足を得にくいのは「報酬や収入」(2.2/5、全項目中最低)。やりがいや専門性で高得点を得る一方、収入面では課題が残っているのが現状です。

退職理由のTOP3

保育人材確保に関する調査研究報告書(令和7年3月)では、保育士の定着が難しい理由として次の3つが上位に挙げられています。

順位 退職理由 回答割合
1 人手不足による保育士一人にかかる負担の大きさ 43.4%
2 給与等の待遇 42.1%
3 子育てや介護等の家庭との両立 40.3%

出典:保育人材確保にむけた効果的な取組手法等に関する調査研究報告書(令和7年3月)p.10、図表183より。

現場の身体的な特徴

job tagの「仕事の性質」データを見ると、保育現場ならではの厳しさも数字で出ています。

項目 スコア(5点満点)
他者との身体的近接 4.6
病気・感染症のリスク 4.5
立ち作業・屋外作業 4.0
歩行・走行 3.8

「他者との身体的近接」と「病気・感染症のリスク」は、全職業のなかでもトップクラス。感染症にかかりやすく、常に子どもと密着している仕事です。座りっぱなしのデスクワークとはまったく違う、体を動かす仕事ということが数字からもわかります。

保育士の年収・待遇

続いて、待遇面のデータを見ていきます。job tagの令和6年データはこちら。

項目 数値
平均年収 406.8万円
平均年齢 39.5歳
有効求人倍率 3.16倍
求人賃金(月額) 22.9万円
時給(一般労働者) 2,055円
時給(短時間労働者) 1,370円
就業者数 634,080人(令和2年国勢調査)
月間労働時間 162時間

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「保育士」統計データより。

令和6年の調査で保育士の平均年収は初めて400万円を超えましたこども家庭庁の資料によると、保育士の人件費は平成24年度以降、段階的に処遇改善が進められていて、令和6年度の補正予算ではさらに10.7%の引き上げが措置されています。

地域別の求人倍率(都道府県格差)

保育士の求人倍率は、地域によってかなり差が大きいのが特徴。こども家庭庁の最新データ(令和7年10月時点)で、求人倍率の高い地域TOP10と低い地域TOP5を見てみます。

順位 求人倍率が高い都道府県 有効求人倍率
1 栃木県 7.41倍
2 福井県 6.56倍
3 広島県 6.16倍
4 鳥取県 5.24倍
5 滋賀県 4.96倍
6 東京都 4.48倍
7 富山県 4.20倍
8 岡山県 4.15倍
9 愛媛県 3.98倍
10 奈良県 3.69倍
順位 求人倍率が低い都道府県 有効求人倍率
1 高知県 1.69倍
2 秋田県 1.83倍
3 青森県 1.88倍
4 石川県 1.89倍
5 北海道 1.93倍

出典:こども家庭庁「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」(令和7年12月公表)p.2より、PULMO編集部が令和7年10月時点のデータをランキング化。

同じ保育士でも、栃木県のように求人が求職者の7倍以上ある地域では待遇のいい職場を選べる状況。一方、高知県や秋田県では1.7〜1.8倍程度に留まります。転職を考えるなら、まずお住まいの地域の求人倍率を見ておくと、相場感がつかみやすくなります。

保育士の将来性

少子化が進むなか「保育士の仕事はなくなるのでは?」と心配する声もありますが、現在のデータは正反対の状況を示しています。

保育人材確保に関する調査研究報告書によれば、令和5年度に退職者がいた保育所等の割合は68.3%、退職者がいた保育所での退職者数の平均は常勤職員1.6人・非常勤職員0.9人(合計2.6人)。離職は一定数発生しているものの、それ以上に新たな保育士の需要が高まっているのが現状です。

保育士の需要が高まっている理由は、主に5つあります。

  • 有効求人倍率3.10倍(令和7年10月、全職種平均1.20倍の約2.6倍)
  • 80.3%の保育所が人材不足を感じている
  • 75年ぶりの配置基準改善(4-5歳児30:1→25:1)で必要保育士数が増加
  • 「こども誰でも通園制度」の制度化で保育士確保の必要性が高まる
  • 処遇改善が継続的に進行(令和6年度補正予算で+10.7%)

こども家庭庁の調査研究報告書でも、「待機児童は大幅に減少してきているが、配置基準の改善や『こども誰でも通園制度』の制度化に伴い、今後も保育士の確保は必要となる」と書かれていて、需要は今後も続く見込みです。

正社員・パート・派遣・公務員の仕事内容

同じ保育士でも、雇用形態によって任される仕事の範囲はかなり変わります。job tagによれば、保育士の就業形態の比率はこんな感じ(複数選択)。

就業形態 割合
正規職員 62.7%
パート 45.1%
契約社員 9.8%
派遣社員 2.0%

保育所では一般的に、正社員とパートを組み合わせた体制が取られています。働き方ごとの仕事内容の違いはこちら。

働き方 主な仕事内容 特徴
正社員(正規職員) クラス担任、保育計画立案、保護者対応、書類作成、行事の企画運営、後輩指導 処遇改善等加算の対象。賞与あり、福利厚生が整う。残業や持ち帰り仕事が発生しやすい
パート 子どもの保育補助、食事介助、午睡見守り、環境整備など。担任を任されることもあるが、フルタイム正社員より責任範囲は限定的 時給1,370円が全国平均(job tag短時間労働者)。勤務時間を選びやすい
派遣 派遣会社経由で保育所に派遣される。クラス担任を任されないことが多く、補助的な業務が中心 時給は正社員換算より高めの場合あり。職場を変えやすい
公務員(公立保育所) 公立保育所の保育士。仕事内容は私立とほぼ同じだが、配置基準遵守が厳格 公務員給与基準に準拠。安定性が高く、退職金・休暇制度が手厚い。地方公務員試験に合格する必要あり

出典:就業形態の数値は厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「保育士」より。

役職別の仕事内容とキャリアパス

保育士のキャリアアップの道筋は、2017年に「保育士等キャリアアップ研修」が制度化されてからかなり明確になりました。役職が上がるにつれて、子どもの保育に加えて組織運営や後輩指導の比重が増えていきます。

役職 主な仕事内容 処遇改善等加算Ⅱ
一般保育士 担任業務、子どもの保育、保護者対応、書類作成
職務分野別リーダー(おおむね経験3年以上) 乳児保育・幼児保育・障害児保育・食育・保護者支援など、特定分野でリーダーを務める 月額5,000円
副主任保育士(おおむね経験7年以上) マネジメント研修+3つ以上の分野別研修を修了。主任のサポート、後輩指導、保育の質向上 月額最大4万円
専門リーダー(おおむね経験7年以上) 4つ以上の分野別研修を修了。専門分野での指導役 月額最大4万円
主任保育士 クラス運営の統括、保育計画の総括、新人教育、保護者対応の最終窓口、施設長補佐 主任保育士専任加算
園長(施設長) 施設運営全般、職員の労務管理、自治体との対応、保育の質の最終責任

出典:役職定義はこども家庭庁「子どものための教育・保育給付交付金の令和7年度予算案」(2025年3月)p.4「処遇改善等加算の一本化について」より。加算額は現行制度の数値。

なお2025年度からは、処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲが「処遇改善等加算(仮称)」として一本化される予定。配分ルールも柔軟になります。

保育所以外の職場

保育士のほとんどは保育所で働いていますが、保育士資格を活かせる職場は他にもあります。job tagに挙げられている主な職場はこちら。

職場 仕事内容の特徴
認可保育所 もっとも多くの保育士が働く職場。0〜5歳児の日中の保育
認定こども園 幼稚園と保育所の機能を併せ持つ。教育と保育の両方を行う
認可外保育施設 企業主導型など。柔軟な保育時間を提供する場合が多い
事業所内保育所・院内保育所 企業や病院の従業員の子どもを預かる。小規模が多い
児童養護施設 家庭での養育が困難な子どもが入所。24時間体制での生活支援
障害児施設 障害のある子どもの療育・生活支援
乳児院 乳児(おおむね2歳未満)の養育
児童館 地域の子どもの遊び場の運営、放課後の見守り
母子生活支援施設 母子世帯の生活支援

出典:job tag「保育士」労働条件の特徴より。

保育士・保育補助・幼稚園教諭・保育教諭の違い

保育の仕事は、名前が似ている職種がいくつかあって混同されがちなので、ひとつずつ違いを見ておきます。

保育士と保育補助の違い

「保育補助」は資格がなくても始められる役割。保育士の補助業務を担当します。

  保育士 保育補助
資格 保育士資格(国家資格)が必要 資格不要(子育て支援員研修の修了が推奨)
担任 クラス担任を持てる 担任は持てない
書類作成 指導計画、保育日誌、連絡帳など 原則なし
主な業務 子どもの保育全般、保護者支援、計画立案 食事・午睡の補助、環境整備、教材準備
配置基準 人数にカウントされる カウントされない(追加配置)

保育補助は資格がなくても始められるので、保育の世界に入る最初のステップとして活用する方も多くいます。保育補助として経験を積みながら、保育士試験を受けて資格を取得していくルートもあります。

保育士と幼稚園教諭の違い

仕事内容は似ていますが、根拠法・管轄省庁・対象年齢・働く施設が異なる別の資格です。

  保育士 幼稚園教諭
管轄 厚生労働省(国家資格) 文部科学省(教員免許)
根拠法 児童福祉法 学校教育法
対象年齢 0歳〜小学校就学前 満3歳〜小学校就学前
主な勤務先 保育所、認定こども園、児童福祉施設 幼稚園、認定こども園
1日の保育時間 原則8時間(延長保育で11時間以上の園も) 標準4時間(預かり保育を実施する園もあり)
役割の目的 「保育」(養護+教育) 「教育」(小学校就学に向けた幼児教育)

保育教諭とは

「保育教諭」は、幼保連携型認定こども園で働く職員の名称。認定こども園は幼稚園と保育所の機能を併せ持つ施設なので、保育教諭になるには保育士資格と幼稚園教諭免許の両方が原則として必要になります。

幼保連携型認定こども園は年々増えていて、両方の資格を持つ人材の需要が高まっています。現在は経過措置として片方の資格でも勤務できるケースがあり、勤務しながらもう一方の資格取得を目指せる特例制度(対象施設で3年以上かつ4,320時間以上勤務すれば、保育士試験の科目免除や幼稚園教諭免許取得の特例が利用可能)も設けられています。

保育士になる方法

ここまで読んで「保育士、いいかも」と思った方に向けて、資格の取り方を整理します。現在の状況に合わせて選びやすいよう、ルート別にまとめました。

保育士資格の取得ルートは2つ

保育士として働くには保育士資格(国家資格)が必要です。取得ルートは大きく2つ。

  養成校ルート 試験ルート
方法 厚労省指定の保育士養成校を卒業 保育士試験に合格
期間 2〜4年 最短半年〜数年
費用 数十万円〜200万円超 数万円〜10万円程度
合格率 ほぼ100%(卒業=資格取得) 26.3%(令和6年度)
向いている人 高校生・現役大学生で時間がある 社会人・主婦など働きながら目指す

養成校ルート(大学・短大・専門学校)

厚労省が指定する保育士養成課程のある大学・短大・専門学校を卒業すると、自動的に保育士資格が取得できます。

job tagの学歴データを見ると、現役保育士は短大卒がもっとも多いのがわかります(複数選択)。

学歴 割合
短大卒 66.7%
専門学校卒 31.4%
大卒 31.4%

通信教育や夜間課程を提供している学校もあるので、ライフスタイルに合わせた学び方が選べます。

試験ルート(保育士試験)

大学・短大を卒業していれば、学部・学科を問わず保育士試験を受験できます。社会人になってから保育士を目指す方の多くは、このルートを選びます。

項目 令和6年度の数値
受験申請者数 58,767人
合格者数 15,475人
合格率 26.3%

出典:こども家庭庁「保育士試験の実施状況(令和6年度)」より。

令和6年度の保育士試験は約4人に1人が合格する難易度。試験は筆記試験(8科目)+実技試験(3分野中2分野を選択)で構成されています。

区分 科目・分野
筆記試験(8科目) 保育の心理学/保育原理/子ども家庭福祉/社会福祉/教育原理/社会的養護/子どもの保健/子どもの食と栄養/保育実習理論
実技試験(2分野選択) 音楽に関する技術/造形に関する技術/言語に関する技術

合格した科目は3年間有効(条件により最大5年まで延長可能)なので、複数回に分けて挑戦することもできます。試験は前期(4月)と後期(10月)の年2回。

高卒の方の場合

高卒で保育士を目指す場合は、主に次の選択肢があります。

  • 養成校に進学する──もっとも一般的なルート。大学・短大・専門学校に入学して資格取得
  • 児童福祉施設で実務経験を積んで試験を受ける──児童福祉施設で2年以上かつ2,880時間以上の実務経験があれば、保育士試験の受験資格が得られる
  • 平成3年3月31日以前に高校を卒業した方は、学歴に関係なく保育士試験を受験可能(児童福祉法施行令の規定)

社会人から目指す方の場合

社会人から保育士を目指すルートは、主に2つあります。

  1. 働きながら通信講座で勉強して、保育士試験を受ける──費用を抑えられる。仕事を続けながら半年〜2年で取得を目指す方が多い
  2. 夜間制・通信制の保育士養成校に通う──計画的に学べる。費用は試験ルートより高め

保育士資格取得は教育訓練給付金の対象で、「専門実践教育訓練」に該当します。受講費用の最大80%(年間上限64万円)が支給されます(厚生労働省「教育訓練給付金のご案内」より)。働きながら保育士を目指す方にとって、心強い制度です。

幼稚園教諭免許を持っている方の場合

幼稚園教諭免許を持っている方は、保育士試験で「保育の心理学」と「教育原理」が免除されます。さらに、対象施設で3年以上かつ4,320時間以上の実務経験があれば、特例制度でさらに科目免除を受けられます。実際、令和6年度は2,145人が幼稚園教諭免許の特例制度を活用して保育士試験に合格しています(同上)。

よくある質問

「保育士の仕事」を調べる方からよく聞かれる質問をまとめておきます。

保育士は土日休みですか?

多くの認可保育所は日曜・祝日が休園で、土曜は開園(短時間や交替勤務)というパターンが一般的です。完全な土日休みになるのは、企業内保育所や認定こども園(教育認定の場合)などが中心。日曜・祝日も開所する施設(認可外保育施設、休日保育を実施する園など)では、シフト制で土日勤務が入る場合もあります。

保育士で年収が高い職場はどこですか?

こども家庭庁の経営実態調査では、もっとも給与が高い職場は公立保育園(公務員保育士)。次いで、私立保育園、認定こども園、小規模保育事業の順です。夜勤手当が出る病院内保育所や、24時間体制の児童養護施設なども、トータルの収入は高くなりやすい傾向があります。

保育士は何歳まで働けますか?

保育士資格に年齢制限はありません。job tagのデータでは保育士の平均年齢は39.5歳で、50代以降も活躍する方が多くいます。ただし、体力的にハードな仕事なので、年齢が上がると主任・園長など管理職へ移行したり、児童館など体力的負担が少ない職場に移ったりする方もいます。

保育士は男性でもなれますか?

保育士は性別を問わない資格です。少しずつ男性保育士は増えていて、体を使った遊びや父親目線の保護者対応で活躍するケースが多く、求める保育所も増えています。job tagのデータでは保育士の女性比率が高いものの、男女別の細かい統計までは公表されていません。男女別年収などの詳細は、転職時にエージェントなどに相談すると、地域・施設別の最新情報が得られます。

保育士は人手不足って本当ですか?

本当です。令和7年10月時点の保育士の有効求人倍率は3.10倍で、全職種平均1.20倍の約2.6倍。保育人材確保に関する調査研究報告書(令和7年3月)では、全国の保育所等の80.3%が人材不足を感じていると回答しています。資格保有者にとっては「働き先を選べる」状況ともいえます。

保育士の仕事を一言で説明するには?(面接対策)

シンプルに表すと、「専門的知識と技術をもって、子どもの保育を行うとともに、保護者に対し子育てに関する支援や助言・指導を行う仕事」です。これは厚生労働省 job tagの公式定義そのものなので、面接や履歴書での「保育士とは」の説明に使えます。

履歴書・職務経歴書での書き方のヒント

転職や就職活動を控えている方向けに、履歴書での「仕事内容」の書き方のヒントもお伝えします。

厚労省のタスクデータをもとに、自分が担当していた業務を具体的に棚卸ししてみてください。たとえば「0歳児クラス担任として、子ども9名(保育士3名体制)の保育を担当」「保育日誌・個別記録・指導計画の作成」「保護者面談を年2回実施」「運動会・発表会の企画・運営」のように、数字や具体的な行動を入れると伝わりやすくなります。

保育業界から別業界へ転職する場合は、保育士の業務を「一般的なビジネススキル」に翻訳するのがコツ。

保育士の業務 ビジネススキルへの翻訳例
保育計画の立案・実行 プロジェクトの計画立案・運営管理
保護者面談・連絡帳でのコミュニケーション ステークホルダーとの関係構築・報告
新人保育士の指導 後輩育成・OJT
行事の企画運営 イベントプランニング・実行
感染症対策・安全管理 リスクマネジメント・衛生管理

まとめ

保育士の仕事内容を、公的データをもとに見てきました。最後に、この記事のポイントを振り返ります。

  • 保育士は子どもの保育に加えて、保護者支援まで含む専門職。仕事は5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)にまたがる
  • もっとも重要なタスクは「健康管理」(重要度4.4/5)。子どもと遊ぶより、安全と健康を守ることが最優先
  • やりがいは「専門性・自己成長・達成感」(各3.6〜3.8/5)。子どもの成長に立ち会える喜びがある
  • 平均年収406.8万円、有効求人倍率3.10倍。地域差が大きく、栃木7.41倍 vs 高知1.69倍
  • 働き方は正社員・パート・派遣・公務員と多彩で、役職別のキャリアパスも明確
  • 資格取得は養成校ルート試験ルート(合格率26.3%)の2つ。社会人には教育訓練給付金の支援も
  • 75年ぶりの配置基準改善や「こども誰でも通園制度」で、今後も保育士の需要は高まる見込み

大変な面もある仕事ですが、子どもの成長に寄り添える喜びがあり、需要も安定している保育士という選択肢。この記事が、進路を考える一助になればうれしいです。

PULMO編集部

ママ向けオンラインコミュニティ「PULMO」編集部です。子育てに役立つ情報を、お届けします。

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