※本ページはプロモーションを含みます
「家事代行、頼めたら本当に楽になりそう。でも、知らない人を家に上げるのはやっぱり怖い」——そう感じて予約ボタンの前で止まってしまう。この気持ちは、決して神経質でも大げさでもありません。
経済産業省が公表した資料によると、家事支援サービスを利用していない理由の第2位は「他人に家の中に入られることに抵抗があるため」で15.56%。さらに「他人に家事を任せることへの抵抗」なども含めた心理的抵抗感の合計は37.9%にのぼります(令和4年度調査、N=4,633)。つまり、あなたと同じところで立ち止まっている人が、全体の4割近くいるということです。
この記事では、その不安を「なんとなく怖い」のまま放置せず、①防犯(盗難・破損)②プライバシー(生活を見られる)③対人ストレス(気を使う・恥ずかしい)の3つに分解します。そのうえで、公的資料で確認できる範囲の「実際のリスクの大きさ」と、今日から使える具体的な対策、そして各社の安全対策をどんな観点で比べればよいかを整理しました。読み終えたときに「頼んでみよう」でも「今回は見送ろう」でも、どちらでも構いません。納得して決められることをゴールにしています。
この記事のポイント
- 「他人を家に入れる抵抗」は未利用理由の第2位(15.56%)。心理的抵抗感の合計は37.9%で、多くの人が同じところで止まっています(経済産業省・令和4年度調査)。
- 一方で利用経験者の満足度は約90%、継続利用意向は9割超。実際に使った人の評価と、使う前の不安には大きなギャップがあります。
- 不安は「防犯」「プライバシー」「対人ストレス」の3層に分けると、それぞれに打ち手が見つかります。
- 確認すべきは、損害保険・災害補償保険の加入、契約書で定める範囲、貴重品の管理方法、鍵の扱い、完了報告とトラブル窓口。
- 公的な認証制度(家事代行サービス認証)もありますが、認知度は低く「全く知らない」が70.9%。知っているだけで会社選びの目が一段変わります。
- まずは自治体の産後ヘルパー等の公的支援を確認し、足りない分を民間で補うのが負担の少ない順序です。
1. まず前提:この不安は「よくあること」です
家事代行という言葉は聞くようになったものの、実際の利用率はまだ高くありません。経済産業省の資料によれば、家事支援サービスを「利用している」と答えた人は1.8%(令和4年度調査)。100人いれば2人いるかどうか、という水準です。
この「まだ身近ではない」感覚が、不安を大きく見せます。周りに使っている人がいなければ、実際どうなのかを聞ける相手もいません。情報がないところに想像だけが膨らむのは、自然なことです。
未利用理由の内訳を見てみる
経済産業省の資料に記載された未利用理由を並べると、不安の輪郭がはっきりしてきます。
| 未利用の理由 | 割合 | 不安の種類 |
|---|---|---|
| 価格が高い | 20.01% | 費用 |
| 他人に家の中に入られることに抵抗があるため | 15.56% | 心理的抵抗 |
| 他人に家事を任せることに抵抗があるため | 11.53% | 心理的抵抗 |
| セキュリティ面が不安 | 10.81% | 防犯 |
出典:経済産業省「家事支援サービスの活用にかかる取組について」(令和6年5月)p.4。心理的抵抗感の合計は37.9%。
ここで注目したいのは、費用(20.01%)と心理的抵抗感(合計37.9%)では、後者のほうがずっと大きいという点です。お金の問題より、気持ちの問題のほうがハードルが高い。この構造は10年近く変わっていません。独立行政法人労働政策研究・研修機構の資料に載っている平成26年度調査でも、未利用理由の最多は「他人に家の中に入られることに抵抗があるため」で47%でした。
ところが、使った人の評価は高い
不安が大きい一方で、実際に利用した人の評価は高い傾向にあります。
| 調査項目 | 結果 | 出典 |
|---|---|---|
| 利用者の満足度 | 約90%が満足 | 労働政策研究・研修機構(2017年) |
| 継続利用意向 | 約93%/9割以上が希望 | 労働政策研究・研修機構、経済産業省 |
| 利用後の家事負担軽減 | 78.8%が肯定 | 経済産業省(令和4年度調査) |
| 利用後の精神的余裕 | 80.0%が肯定 | 経済産業省(令和4年度調査) |
「使う前の不安」と「使った後の評価」に、これだけの差があるということです。もちろん、満足している人の声が集まりやすいという調査の性質はありますが、9割前後の人が続けたいと答えている事実は、判断材料のひとつになります。
石川県が公開している利用体験談には、「掃除を有料でお願いすることに、最初は多少の罪悪感もありました」という一節があります。他人を家に入れる抵抗だけでなく、「自分でやるべきことを人に頼む」ことへの後ろめたさも、多くの人が抱えているものです。同じ体験談では、事前に事業者と何度か電話で打ち合わせをしていたためサービス内容への不安はなかった、とも語られています。不安は「事前のやりとり」で減らせる——ここが実務的なヒントです。
2. 不安を3つに分解する(ここが記事の背骨)
「他人を家に入れるのが不安」という一言には、実は性質の違う3つの不安が混ざっています。混ざったままだと打ち手が見えないので、分けて考えます。
| 不安の層 | 具体的な中身 | 打ち手の方向 |
|---|---|---|
| ①防犯 | 盗難、物品の破損、留守中に入られること | 契約・保険・貴重品管理・鍵の扱いで下げる |
| ②プライバシー | 生活を見られる、部屋の中を知られる、家の汚れが恥ずかしい | 作業範囲の指定・立入禁止の部屋・事前の片づけ |
| ③対人ストレス | 気を使う、在宅中どう過ごすか、相性が合わない、毎回違う人が来る | 過ごし方の合意・伝え方の準備・担当の継続性 |
この3つは、対策の種類がまったく違います。防犯は「契約と仕組み」で下げるもの、プライバシーは「事前の指定」で下げるもの、対人ストレスは「合意と慣れ」で下げるもの。以下、順に見ていきます。
3. ①防犯:盗難・破損への現実的な備え
最初に事実を確認します。厚生労働省が令和5年に実施した家事使用人の実態調査では、働く中で生じたトラブルについて「特にない」が66.4%という結果でした(契約範囲外の業務を求められた5.8%など)。これは働き手側から見た数字ですが、日々の現場が常にトラブルまみれではないことを示す一つの材料になります。
ただし、盗難・破損の発生件数そのものを示す公的統計は、今回確認できた資料の中には見当たりませんでした。「ゼロだから安心」とは言えません。起きたときに困らない備えをしておく——これが現実的な考え方です。
確認すべきは「2つの保険」
厚生労働省の「家事使用人の雇用ガイドライン」では、確認すべき項目として次の2つが挙げられています。
| 保険の種類 | 備える対象 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 損害保険 | 家財の破損・汚損など、依頼者側の損害 | 加入の有無、補償範囲、上限額、免責事項 |
| 災害補償保険(労災保険の特別加入を含む) | 作業中のスタッフのケガ | 加入の有無。未加入だと依頼者側の負担になる可能性 |
出典:厚生労働省「家事使用人の雇用ガイドライン」p.16
見落としやすいのは2つめです。作業中にスタッフが転倒してケガをした場合、補償の枠組みがなければ話がこじれます。会社を通して依頼する場合は、この点も会社側で整備されているかを確認しておくと安心です。
契約で決まっていないことは、決まっていない
同じく厚生労働省の実態調査では、契約で定めている内容の割合が示されています。
| 契約で定めている内容 | 割合 |
|---|---|
| 勤務時間 | 86.4% |
| 業務内容 | 81.4% |
| 損害を与えた場合等の補償内容 | 29.2% |
出典:厚生労働省「家事使用人に係る実態調査について」(令和5年8月1日、調査は令和5年1〜3月実施)p.7
時間や業務内容は8割以上が決めているのに、補償の取り決めは29.2%にとどまります。つまり、7割の現場では「壊れたらどうするか」が事前に決まっていない。この調査は家事使用人(家庭と直接契約する形態)が対象ですが、示唆は共通です。契約書・約款のどこに補償の記載があるかを、依頼前に自分の目で確認すること。ここが一番効きます。
貴重品は「見えないところ」ではなく「鍵のかかるところ」へ
厚生労働省のガイドラインには、「金品や貴重品など、触れてはいけないものについては事前に伝え」とあり、鍵のかかる場所に保管し雇用主自身で管理することが望ましい、とされています。
ポイントは「隠す」ではなく「管理する」という発想です。引き出しの奥にしまうだけでは、掃除の動線に入ってしまえば結局触れられる可能性があります。金庫、施錠できるクローゼット、持ち歩けるバッグ——物理的に開かない状態にしておくのが確実で、しかもお互いに気を使わずに済みます。
依頼前日にやっておくこと(防犯編)
- 現金・通帳・印鑑・カード類を、施錠できる場所か持ち出しバッグへ
- 重要書類(マイナンバー、契約書、給与明細など)をまとめて1か所に
- 壊れやすい高価なもの(食器、家電、趣味のもの)は作業範囲から外すか、その旨を伝える
- 「この棚は触らないでください」と伝えるものをリストアップ
4. ②プライバシー:生活を見られる不安への向き合い方
防犯とは別に、「生活そのものを見られたくない」という気持ちがあります。散らかった部屋、洗っていない食器、冷蔵庫の中身。誰かに見られると考えるだけで気が重い、というのは自然な感覚です。
ここでの前提として押さえたいのが、厚生労働省ガイドラインにある業務水準の考え方です。依頼できるのは「一般的な日常生活の範囲内で求められる家事の水準」とされています。裏を返せば、スタッフは特別な家を想定していないということ。日常の家を、日常の水準で整えるのが仕事です。
「入ってほしくない部屋」は最初に決めていい
作業範囲を自分で決められるのが、家事代行の使いやすいところです。「リビングと水回りだけ」「寝室と子ども部屋は入らないでください」——こうした指定は、わがままではなく通常のオーダーです。むしろ範囲が明確なほうが、スタッフも動きやすくなります。
| 指定の仕方 | 伝え方の例 | 効果 |
|---|---|---|
| 範囲を絞る | 「今回はキッチンとお風呂だけお願いします」 | 見られる場所が限定され、心理的負担が下がる |
| 立入不可を伝える | 「寝室は閉めておくので入らないでください」 | プライベート空間を確保できる |
| 触れないものを伝える | 「この棚と机の上は、そのままにしてください」 | 紛失・破損のトラブル予防にもなる |
| 収納は開けない依頼 | 「引き出しやクローゼットは開けなくて大丈夫です」 | 中身を見られる不安が消える |
「事前に片づけないと」の呪縛から降りる
家事代行を頼むために片づける、という本末転倒はよく起こります。ここは割り切りが必要です。片づけるのは「見られたくないもの」だけで十分。散らかりそのものは、むしろ整えてもらう対象です。
石川県の体験談でも、掃除用具は依頼者が準備したものを使用したとあります。何を使ってほしいか、どこまでやってほしいかを事前のやりとりで詰めておけば、当日「見られる」ことへの緊張はかなり和らぎます。
5. ③対人ストレス:在宅か留守か、そして「毎回違う人」問題
3つめは、人と接すること自体の負担です。「在宅中、何をしていればいいのか」「話しかけられたら気を使う」「毎回違う人が来ると、そのたびに一から説明しないといけない」。これらは防犯とも保険とも関係のない、純粋に気疲れの問題です。
在宅と留守、どちらを選ぶか
| 比較の観点 | 在宅で依頼する | 留守中に依頼する |
|---|---|---|
| 安心感 | 作業の様子が見えるため高い。初回に向く | 鍵の預け方と管理体制への信頼が前提 |
| 気疲れ | 同じ空間にいる緊張感がある | 気を使わずに済む |
| 指示のしやすさ | その場で伝えられる。認識のズレが起きにくい | 事前の指示書・メモが必要 |
| 時間の使い方 | 別室で仕事や子どもの世話ができる | 外出・通院・買い物にあてられる |
| 子ども・ペットがいる場合 | 様子を確認できる | 事前に取り決めが要る |
結論としては、初回は在宅、慣れてきたら別室、信頼できたら留守という段階的な移行がおすすめです。いきなり留守を選ぶ必要はありませんし、ずっと在宅のままでも問題ありません。
在宅中の過ごし方は「別室で自分のことをする」でいい
そばで見ていなければ失礼、という決まりはありません。別室で仕事をする、子どもと過ごす、休む——どれも自然です。「作業中は別室にいます。何かあれば声をかけてください」と最初に伝えておけば、お互いに気まずくなりません。会話は必須ではない、と伝えておくのも有効です。
「毎回違う人が来る」への構造的な答え
実はこれが、不安の中でも根が深い部分です。1回ごとに担当が変わる仕組みだと、家の間取り、洗剤の場所、子どものアレルギー、触れてほしくないもの——すべてを毎回伝え直すことになります。説明の手間そのものが負担ですし、「知らない人が来る」感覚がいつまでも消えません。
この点は、サービスの設計思想の違いとして理解しておくと選びやすくなります。
| 設計の型 | 向いている使い方 | 「毎回違う人」への影響 |
|---|---|---|
| 単発・スポット重視 | 年末大掃除、来客前、引っ越し前後など一時的な依頼 | 担当が変わる前提。都度の説明が必要になりやすい |
| 低価格・定期重視 | 費用を抑えて継続的に頼みたい | 会社の運用による。指名制度の有無を確認 |
| 専任制 | 関係を築いて長く任せたい、説明の手間を減らしたい | 同じ人が継続して訪問するため、説明は最初だけ |
どれが優れているという話ではなく、悩みによって最適解が変わります。「他人を家に入れるのが不安」「毎回説明したくない」が主な悩みなら、専任制の考え方が構造的に合いやすい。一方、「年に一度だけ大掃除を頼みたい」なら単発に強いサービスのほうが合理的です。
6. 会社選びで見るべき7つの観点
ここまでの不安に対して、会社側がどう答えているかを比べる観点を整理します。公式サイトで確認できる項目に絞りました。
| 観点 | 確認する内容 | 不安のどこに効くか |
|---|---|---|
| ①認証の取得 | 家事代行サービス認証を取得しているか、対象サービスの範囲 | 防犯・品質全般 |
| ②賠償保険 | 加入の有無、上限額、対人か対物か | 破損・盗難時の備え |
| ③鍵の管理 | 預かり時の書面、保管方法、紛失時の対応 | 留守中依頼の不安 |
| ④スタッフの体制 | 身元確認、研修、秘密保持、有資格者の在籍 | プライバシー・品質 |
| ⑤担当の継続性 | 専任制か、指名や交代の可否 | 「毎回違う人」問題 |
| ⑥完了報告 | 作業後の報告があるか、内容の記録 | 留守中依頼の可視化 |
| ⑦トラブル窓口 | 問い合わせ先、キャンセル規定、担当変更の申し出方 | 万一のときの動きやすさ |
公的な「家事代行サービス認証」という物差し
会社選びの手がかりとして、公的な認証制度があります。経済産業省の資料によれば、2016年度に「家事代行サービス認証制度」が創設され、安全・安心/機能同等性/接遇の3つの品質を評価する第三者認証として、日本規格協会が審査を行っています。
ただし、この制度はほとんど知られていません。同じ資料で、認証制度の認知度は「全く知らない」が70.9%と報告されています。逆に言えば、この制度の存在を知っているだけで、会社を見る目が一段変わるということです。
認証は「その会社のすべてのサービスが対象」とは限りません。定期コースのみが対象で、ベビーシッターや送迎など一部サービスは対象外、という運用もあります。どのサービスが認証の範囲に入っているのかまで、公式サイトで確認してください。
「安全対策の書き方」で会社の姿勢が見える
公式サイトの安全対策のページを見るとき、次のような具体性があるかを見ます。
- 保険の上限額が数字で書かれているか(「保険加入済」だけでは範囲がわからない)
- 鍵を預かる場合、書面を発行するか、紛失時にどうするか
- スタッフ採用時の身元確認・研修について記載があるか
- 作業後の報告の有無と方法
- キャンセル規定(何時間前まで無料か)
これらが明記されている会社は、トラブルが起きたときの手順も社内で整理されている可能性が高いと考えられます。逆に、抽象的な安心の言葉だけが並んでいる場合は、問い合わせて確かめるのが確実です。
7. 初回の流れ:不安を最小にする段取り
石川県の体験談にあったとおり、事前のやりとりが不安を大きく減らします。実際の段取りを、時系列で並べます。
保険の上限、鍵の扱い、担当が固定かどうか、キャンセル規定。この4つを聞くだけで、その会社の対応の丁寧さがわかります。電話でもメールでも構いません。回答が曖昧なら、その時点で見送る判断もありです。
最初から3時間フルコースにする必要はありません。「水回りだけ」「キッチンだけ」など範囲を絞り、在宅で様子を見る。お試しプランや単発利用がある会社なら、それを使うのが最も負担が軽い入り方です。
貴重品を施錠できる場所へ移し、入ってほしくない部屋のドアを閉める。触れてほしくない棚をメモしておく。ここまでやれば、当日の緊張はかなり下がります。
作業範囲、立ち入らない部屋、使ってほしい洗剤や道具、そして「作業中は別室にいます」。この4点を最初に伝えるだけで、その後のやりとりが格段に楽になります。
仕上がりを一緒に確認し、「次はここもお願いしたい」「ここはこうしてほしい」を伝えます。この積み重ねが、2回目以降の説明を減らします。
相性は必ずあります。人柄の問題ではなく、家事のやり方や距離感の好みが違うだけです。「今回は少し違ったので、担当を変えていただけますか」と会社の窓口へ伝えれば済みます。直接本人に言う必要はありません。
8. 留守中の依頼と鍵の扱い
「留守中に入られる」は、防犯の不安が最も濃く出る部分です。ただ同時に、通院や外出の時間を確保できるという実利も大きい。慎重に、しかし避けずに考えたいところです。
鍵の預け方の選択肢
| 方式 | 特徴 | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|
| 会社に鍵を預ける | 毎回の受け渡しが不要。継続利用向き | 預かり時の書面発行、保管方法、紛失時の補償 |
| 毎回手渡し・返却 | 鍵が手元を離れる時間が短い | 受け渡しのために在宅時間が必要 |
| スマートロックの一時パスコード | 期間や時間帯を限定できる。使用後に無効化できる | 機器の対応状況、会社側の運用可否 |
鍵を預ける場合、「お預かり書」など書面が発行されるか、そして紛失したときにどうなるか(鍵交換代の補償があるか)は、必ず事前に確認してください。ここを明示している会社は、鍵の管理体制そのものを整備していると考えられます。
子ども・ペットがいる場合
子どもやペットが在宅している状態での留守依頼は、家事代行の一般的な業務範囲を超える可能性があります。厚生労働省のガイドラインでも、依頼できるのは「一般的な日常生活の範囲内で求められる家事の水準」とされており、高度な業務や危険を伴う作業を一律に求めるのは適切でないと示されています。
子どもを見てもらう必要があるなら、家事代行ではなくベビーシッターや保育に対応したサービスを選ぶ、あるいは家事と育児の両方に対応できる会社を選ぶのが筋です。ペットについても、餌やりや散歩まで頼めるかは会社ごとに異なります。「できる/できない」を事前に確認し、できないことを当日その場でお願いしないようにしましょう。
9. まず自治体、足りない分を民間で
民間の家事代行を検討する前に、確認しておきたいのが自治体の公的支援です。産後ヘルパー、家事・育児サポート事業、産後ケア事業など、名称は自治体ごとに異なりますが、民間より低い自己負担で使える制度が用意されている地域があります。
順序としては、①自治体の制度で使えるものを確認 → ②回数や期間が足りない分、対象外の作業を民間で補うという流れが、費用面でも心理面でも負担が少なくなります。公的な制度は自治体が仲介するため、「どこの誰が来るのかわからない」という不安も比較的小さくて済みます。
お住まいの区の制度については、世田谷区の家事代行と区の支援をまとめた記事や、品川区の産後ヘルパー(すこやかサポート)を含めた記事で、区独自の支援を公式情報にもとづいて整理しています。妊娠期から使える制度がある区もあるため、まずはお住まいの自治体のページを確認してみてください。
企業の福利厚生という選択肢も
経済産業省の資料には、企業が福利厚生として「毎月1人5,000円の家事代行費用を会社が助成する取り組みを開始」した事例が紹介されています。勤務先に同様の制度がないか、社内の福利厚生一覧を確認してみる価値はあります。
10. 「頼まなくていいケース」も正直に
この記事は依頼を勧めるためのものではありません。次のような場合は、無理に頼まない判断が合理的です。
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 不安が強く、当日ずっと緊張し続けそう | 休息のために頼むはずが逆効果になります。まず範囲を絞った短時間の単発から |
| 家事の負担より、費用の負担のほうが重い | まず自治体の制度と勤務先の福利厚生を確認。それでも合わなければ見送る判断も |
| 一時的に忙しいだけで、数週間で落ち着く見込み | 定期契約ではなく単発・スポット利用で足りる可能性が高い |
| 家族と方針が合っていない | 同居家族の同意がないまま進めると、後で摩擦になります。先に相談を |
| 頼みたいのが家事ではなく育児の見守り | 家事代行の業務範囲外の可能性。ベビーシッター等の別サービスを検討 |
「今回は見送る」も立派な結論です。ただ、その場合も何が引っかかっているのか(費用か、防犯か、家族の理解か)をはっきりさせておくと、状況が変わったときにすぐ判断できます。
11. サービスの選び方:設計思想で選ぶ
ここまで見てきたとおり、家事代行のサービスは「どの悩みに答える設計か」で性格が分かれます。料金の安さだけで比べると、かえって不安が残る選び方になりかねません。
| あなたの悩み | 相性のよい設計 | 確認する項目 |
|---|---|---|
| 毎回違う人が来るのが落ち着かない | 専任制・担当が固定される仕組み | 専任制の有無、担当変更の申し出方 |
| まず一度だけ試したい | 単発・お試しプランのある会社 | 初回料金、最低利用時間、勧誘の有無 |
| 費用を抑えて継続したい | 低価格帯・定期コース中心の会社 | 定期割引、交通費・訪問費の扱い |
| 家事も育児もまとめて頼みたい | 家事と育児の両方に対応する会社 | 対応範囲、有資格者の在籍、認証の対象範囲 |
| 年末の大掃除など一時的な依頼 | ハウスクリーニング・スポット型 | 作業内容の定義(家事代行とは別サービス) |
各社の料金・プラン・キャンペーン・保険の上限額などは変動します。2026年8月時点の情報として、必ず各社公式サイトで最新の内容をご確認ください。特に「初回体験」「トライアル」は期間限定で内容が変わることがあります。
家事+育児をまとめて任せたい方へ
きらり ライフサポート(家事+育児)
家事と育児を横断して依頼できるプラン。専任制で毎回同じ方が訪問する設計のため、「毎回違う人が来るのが落ち着かない」「一から説明するのが負担」という悩みに構造的に応えます。料金・対応エリア・安全対策(認証の対象範囲、賠償保険、鍵の扱い)は公式サイトでご確認ください。
依頼内容を自由に組み立てたい方へ
きらり 完全オーダーメイド
「キッチンだけ」「作り置きと洗濯だけ」など、範囲を絞って依頼したい方向け。入ってほしくない部屋がある、まずは水回りだけで試したい——そんな段階的な始め方と相性のよいプランです。詳細な条件は公式サイトでご確認ください。
費用を抑えて定期的に頼みたい方へ
CaSy(カジー)
ネットで完結する予約と、比較的手の届きやすい価格帯が特徴。「まず費用のハードルを下げて始めたい」という方に向いています。料金・対応エリア・保険や安全対策の内容は公式サイトでご確認ください。
まずは短時間から試したい方へ
三菱地所グループ 30min.(サーティミニッツ)
短時間から依頼できる設計で、「長時間は不安だけれど、少しだけ試してみたい」という入り方に向いています。初回体験の条件・料金は変動しますので、公式サイトで最新の内容をご確認ください。
トライアルで相性を確かめたい方へ
キャットハンド
初回トライアルが用意されており、「一度体験してから決めたい」という慎重な方に向いています。作業範囲や対応エリア、トライアルの条件は公式サイトでご確認ください。
掃除だけを集中的に頼みたい方へ
カジタク 掃除代行
掃除に絞った依頼がしたい方向け。「範囲を限定して頼みたい」「まずは水回りだけ」という始め方と相性があります。プラン内容・料金は公式サイトでご確認ください。
長く続く運営体制を重視したい方へ
ダスキン メリーメイド
全国的な事業展開を持つサービス。「知名度と運営体制を重視したい」という方に向いています。サービス内容・料金・対応エリアは公式サイトでご確認ください。
12. よくある質問
Q1. 家事代行とハウスクリーニング、家政婦は何が違うのですか?
経済産業省の資料では、家事支援サービスは「事業者のスタッフが利用者宅を訪問し、主に利用者宅において、家事に関する業務(掃除、洗濯、炊事等)の全部又は一部を利用者に代わって行うサービス」と定義されており、ハウスクリーニングや家政婦とは区別されています。ハウスクリーニングは専用機材による専門的な清掃、家事代行は日常の家事の代行、という整理です。頼みたい内容がどちらかによって、選ぶサービスが変わります。
Q2. スタッフとの契約形態にはどんな種類がありますか?
厚生労働省のガイドラインでは、家事サービスの提供者について「①ご家庭と直接労働契約を結ぶ家事使用人、②家事代行サービス会社に雇用され、ご家庭に派遣される方」といった区分が示されています。会社を通じて依頼する場合、多くは②にあたります。会社が雇用主となるため、労務管理や補償の枠組みが会社側で整備されている点が、直接契約との大きな違いです。
Q3. 作業中にスタッフがケガをしたら、依頼者が責任を負うのですか?
厚生労働省のガイドラインでは、確認すべき項目として「災害補償保険(労災保険の特別加入を含む)加入の有無」が挙げられています。会社を通じた依頼であれば、通常は会社側で加入状況が整理されているはずです。契約前に、この点も含めて確認しておくと安心です。
Q4. 何かを壊された場合、どこまで補償されますか?
会社ごとに保険の内容・上限額・免責事項が異なります。厚生労働省の実態調査では、契約で「補償内容」を定めている割合が29.2%にとどまるという結果もあり、事前確認が欠かせません。「加入している」だけでなく、上限額と免責となるケースまで確認してください。
Q5. 担当の方と合わなかったとき、どう伝えればよいですか?
本人に直接言う必要はありません。会社の窓口へ「今回は少し合わなかったので、次回は別の方でお願いできますか」と伝えれば十分です。理由を細かく説明する義務もありません。相性は誰にでもあるもので、会社側も想定している範囲の申し出です。
Q6. 認証を取得していない会社は避けたほうがよいですか?
認証は選ぶ際の手がかりのひとつであり、未取得=問題があるという意味ではありません。経済産業省の資料では認証制度の認知度が「全く知らない」70.9%と低く、制度自体がまだ広がっていない段階です。認証の有無に加えて、保険・鍵の扱い・報告体制・トラブル窓口といった項目を総合的に見るのが現実的です。
Q7. 依頼できる家事のレベルはどこまでですか?
厚生労働省のガイドラインでは「一般的な日常生活の範囲内で求められる家事の水準」が目安とされ、高度な家事業務や危険を伴う作業を一律に要求するのは適切でないと示されています。高所の窓拭き、大型家具の移動、専門的な清掃などは、家事代行の範囲外か、別料金・別サービスになる可能性があります。事前に「これは頼めますか」と確認しておきましょう。
Q8. 掃除道具や洗剤は自分で用意するのですか?
石川県が公開している利用体験では、掃除用具は依頼者が準備したものを使用したとされています。会社やプランによって、道具を持参する場合と依頼者の道具を使う場合があります。使ってほしくない洗剤がある、アレルギー対応が必要といった事情があれば、事前に伝えておくと確実です。
Q9. 依頼する前に、部屋をどこまで片づけるべきですか?
片づけるべきは「見られたくないもの」「触れてほしくないもの」だけで十分です。散らかりそのものは整えてもらう対象なので、そのために消耗する必要はありません。貴重品と重要書類を施錠できる場所へ移し、入ってほしくない部屋を閉めておく。この2つができていれば準備としては足ります。
13. まとめ:不安を消すのではなく、小さくして進む
「他人を家に入れるのが不安」という気持ちは、消そうとしても消えません。消す必要もありません。やるべきは不安を分解して、それぞれに対策を当てることです。
| 不安 | 今日からできること | 会社に確認すること |
|---|---|---|
| 盗難・破損 | 貴重品を施錠できる場所へ移す | 損害保険の上限額と免責事項 |
| 生活を見られる | 入ってほしくない部屋を閉めておく | 作業範囲をどこまで指定できるか |
| 留守中に入られる | まずは在宅で試す | 鍵の預かり方法と紛失時の対応 |
| 気を使う | 「別室にいます」と最初に伝える | 完了報告の有無と方法 |
| 毎回違う人が来る | 担当の継続性を条件に会社を選ぶ | 専任制の有無、担当変更の申し出方 |
| 合わなかったら | 言い方を事前に決めておく | トラブル窓口、キャンセル規定 |
そして、順序を忘れないでください。まず自治体の制度を確認し、足りない分を民間で補う。この順番なら、費用の負担も、心理的なハードルも、いちばん低いところから始められます。
経済産業省の調査で、利用後に「精神的余裕が生まれた」と答えた人は80.0%。家事負担の軽減が78.8%。数字の上でも、家事を手放すことは暮らしに余裕をもたらしています。それでも今は不安のほうが大きい——そう感じるなら、無理をせず見送って構いません。状況は変わります。産後、復職、家族の状況。そのときに、この記事の確認項目を思い出していただければ十分です。
お住まいの地域で使えるサービスと区の支援については、港区の家事代行と産前産後支援をまとめた記事、江東区の家事・育児サポート事業を含めた記事、文京区のおうち家事・育児サポート事業を含めた記事でも、公式情報にもとづいて整理しています。あわせてご覧ください。
PULMOは、「いつだってワタシらしく輝きたい」女性を応援するママ向けオンラインコミュニティです。家事や育児の悩み、頼ることへの迷い——ひとりで抱えず、同じ時期を過ごす仲間と話してみませんか。
参考・出典
経済産業省 商務・サービスグループ サービス政策課「家事支援サービスの活用にかかる取組について」(令和6年5月)PDF/家事支援サービスの定義、利用率1.8%、未利用理由(他人に家の中に入られることへの抵抗15.56%、心理的抵抗感合計37.9%)、利用後の変化、企業の福利厚生事例
経済産業省 商務・サービスグループ サービス政策課「家事支援サービス振興に向けた施策の方向性」(令和5年4月)PDF/家事代行サービス認証制度(2016年度創設・3品質・日本規格協会が審査)、継続利用意向9割超、認証の認知度70.9%が全く知らない
厚生労働省「家事使用人の雇用ガイドライン」PDF/契約形態の区分、損害保険・災害補償保険の確認、貴重品の管理、依頼できる業務水準
厚生労働省労働基準局「家事使用人に係る実態調査について」(労働条件分科会 第189回 資料No.1、令和5年8月1日/調査は令和5年1〜3月実施)PDF/トラブル「特にない」66.4%、契約で定めている内容の割合(補償内容29.2%)
独立行政法人労働政策研究・研修機構「家事支援サービスの現状」(日本労働研究雑誌 No.689、2017年12月)PDF/平成26年度調査の未利用理由(他人に家の中に入られることへの抵抗47%)、利用者満足度約90%
石川県「家事代行利用体験 Case 1 掃除」PDF/事前打合せによる不安の軽減、掃除用具の準備、利用前の心理的抵抗
※本記事は2026年8月時点の公開情報にもとづいて整理しています。各社のサービス内容・料金・キャンペーン・保険の内容、自治体の制度は変更されることがあります。最新情報は必ず各社公式サイトおよびお住まいの自治体の公式サイトでご確認ください。個別のサービスに関するお問い合わせは各社の窓口へ、自治体の制度については各自治体の担当課へお願いいたします。
