本記事は2026年6月時点の厚生労働省・ハローワークの公表情報をもとに、PULMO編集部が分かりやすくまとめたものです。制度・金額・要件は改正される場合があるため、最終的な受給可否はお勤め先・管轄のハローワークでご確認ください。特定の給付を保証するものではありません。
「育休のあいだ、お金がもらえないかもしれない」——そう聞くと、急に不安になりますよね。働き方や入社時期によっては、育児休業給付金(育休手当)の対象から外れてしまうことが、確かにあります。
でも、安心してください。「もらえない人」には、はっきりとした共通点があります。そして、多くの方がつまずくのは、実はたった1つのポイント=「雇用保険の加入期間の数え方」です。さらに、一度「対象外かも」と思っても、あとから救済される特例や、もらえないときの「代わり」もちゃんとあります。
この記事では、あなたが育休手当をもらえるかどうかを、最初の判定チャートで5分でセルフチェック。そのうえで、もらえない7つのケースと例外、2人目・転職・パートの注意点、そして2025年に新しくできた給付まで、当事者目線でやさしく整理します。
先に、いちばん大事な結論
・もらえない理由の多くは「雇用保険の加入期間が足りない」(新卒1年未満・転職直後・パートが要注意)
・自営業・フリーランス・専業主婦(夫)は、そもそも雇用保険に入っていないため対象外
・「もらえないと思った」人も、最大4年さかのぼれる特例や2025年の新給付で救われることがある
・育休手当は国(雇用保険)の制度なので、住む市区町村で条件は変わりません
まず判定:あなたは育休給付金をもらえる?
細かい説明の前に、まずはセルフチェック。上から順に「はい/いいえ」で進んでください。1つでも引っかかると、原則として対象外になります(救済される例外は後で解説します)。
育休給付金 受給判定チャート
1勤務先で雇用保険に加入している?(パートも対象になる場合あり)
✓ はい → 次へ進む
✗ いいえ → 対象外の可能性大(自営・フリー・専業主婦など)
2育休を始める前の2年間で、「働いた月」が12か月以上ある?
✓ はい → 次へ進む
✗ いいえ → 加入期間が不足。ただし最大4年さかのぼれる特例あり
3育休のあと、職場に復帰する予定?(退職が決まっていない)
✓ はい → 次へ進む
✗ いいえ → 退職予定だと対象外。有期でも更新見込みがあればOK
4育休中、月の就業日数は10日以下に収まる?
✓ はい → 次へ進む
✗ いいえ → 就業が多すぎると、その月は対象外になることがある
5育休中に、給料が普段の8割以上は支払われていない?
✓ はい → 次へ進む
✗ いいえ → 賃金が8割以上だと支給されない
5つすべて「はい」なら、育休給付金をもらえる可能性が高いです
このチャートは目安です。正確な受給可否は、お勤め先や管轄のハローワークでご確認ください。
育休給付金がもらえない・対象外になる7つのケース
チャートで引っかかった方向けに、「もらえないケース」を1つずつ、理由と救済の有無つきで整理します。まずは一覧でどうぞ。
| もらえないケース | 理由 | 例外・救済はある? |
|---|---|---|
| 雇用保険に入っていない | 給付は雇用保険の制度のため | ×(制度の対象外) |
| 加入期間が足りない | 過去2年で「働いた月」が12か月未満 | △ 最大4年さかのぼる特例あり |
| 育休後に退職が決まっている | 「復帰」が前提の給付のため | △ 有期でも更新見込みがあればOK |
| 育休中の就業が月10日超 | 「休業している」状態が要件 | △ 就業を10日以下に調整できれば可 |
| 育休中に給料が8割以上出る | 賃金が出ているため給付不要と判断 | ×(賃金が下がれば対象になることも) |
| 育休中に退職した | 退職日以降は支給されない | × |
| そもそも育休を取れない立場 | 労使協定で対象外の場合など | △ 勤務先・労使協定を確認 |
① 雇用保険に入っていない(パート・自営・専業主婦)
育休給付金は雇用保険(会社で働く人が加入する、失業や育休のときにお金を受け取れる公的な保険)から支払われます。つまり、雇用保険に入っていない人は、残念ながら対象外です。具体的には、自営業・フリーランス、専業主婦(夫)、そして週の所定労働時間(契約で決まっている働く時間)が20時間未満のパートなどが当てはまります。
逆に言えば、パートやアルバイトでも、週20時間以上働いて雇用保険に入っていれば対象になりえます。「パートだからもらえない」と思い込んでいる方が多いですが、まずは自分の給与明細で「雇用保険料」が引かれているかを確認してみてください。引かれていれば、加入しています。雇用保険の加入条件はハローワーク「育児休業等給付」でも確認できます。
② 加入期間が足りない(新卒1年未満・転職直後が要注意)
もっとも多くの人がつまずくのがこれです。条件は、育休を始める前の2年間に、「賃金の支払い対象になった日(=給料が発生した日。有給休暇も含む)が11日以上ある月(または働いた時間が80時間以上の月)」が、通算12か月以上あること。
ここが誤解の核心:「月」の数え方
「1年働いたから大丈夫」と思っても外れることがあります。数えるのは暦の月ではなく、「11日以上働いた月」が12個あるか。たとえば月の途中で入社した月や、欠勤・休職が多かった月は、1か月としてカウントされないことがあります。新卒入社1年未満や、転職して間もない方は、この「12か月」に届かず対象外になりやすいので要注意です。
転職した方も、前職と現職の雇用保険の加入期間は、原則として通算できます(離職時に基本手当(いわゆる失業手当)を受け取っていない、空白期間が1年以内などの条件あり)。「転職したばかりだからゼロから」とは限らないので、諦める前に確認しましょう。加入期間の数え方の詳細は厚生労働省「育児休業等給付について」に説明があります。
③〜⑦ 退職予定・就業日数・賃金・育休中の退職など
そのほかのケースも押さえておきましょう。育休後に退職が決まっていると、「復帰」が前提の給付なので対象外です(有期契約(期間の定めのある雇用。契約社員・パートなど)でも、契約更新の見込みがあれば対象になりえます)。育休中に働いた日数が月10日(かつ就業時間80時間)を超えると、その月は支給されないことがあります。また育休中に給料が普段の8割以上支払われている場合や、育休の途中で退職した場合も対象外です。
就業日数・賃金の細かい要件は厚生労働省「両立支援のひろば」Q&Aで確認できます。
【知らないと損】「もらえない」と思っても、最大4年さかのぼれる特例
ここはぜひ知っておいてほしいポイント。②の「加入期間が足りない」で対象外に見えても、特例で救われることがあります。
原則は「育休前の2年間」で12か月を数えますが、その2年の間に本人の病気・ケガ、妊娠・出産、育児などの理由で、引き続き30日以上賃金をもらえなかった期間がある場合、その日数だけ数える期間を最大4年まで延ばせます。
たとえばこんな人が救われます
・上の子の出産・育休でしばらく働いていなかった(→2人目で「2年だと足りない」が、特例でさかのぼれる)
・つわりや切迫早産で長く休んでいた
・病気やケガで休職していた期間がある
こうした期間があると、「直近2年」では12か月に届かなくても、過去4年まで広げて数え直せるため、条件を満たせる可能性が出てきます。
「2年でダメだったから」と諦めず、こうした休業期間に心当たりがあれば、必ず勤務先かハローワークに相談してください。これは見落とされやすい、知る人ぞ知る救済策です。適用できるかどうかは個別事情によるため、ハローワークや勤務先にご相談ください。
2人目・連続育休で「ギリギリもらえなかった」を防ぐには
「1人目の育休から復帰しないまま2人目の産休・育休に入ったら、2人目の給付がもらえなかった」——これは実際によくある相談です。理由は、1人目の育休中は働いていない=賃金が出ていないため、「11日以上働いた月」が稼げず、2人目の育休前2年間で12か月に届かなくなるからです。
ただし、ここでも前述の4年さかのぼる特例が効きます。1人目の産休・育休の期間は「賃金をもらえなかった期間」として、数える期間を延ばす対象になります。そのため、連続育休でも条件を満たせるケースは多いです。「2人目はもらえないかも」と不安な方こそ、自己判断せずに確認を。育休給付のQ&Aは厚生労働省「両立支援のひろば」にまとまっています。
連続育休のチェックポイント
・1人目の育休から一度も復帰せず2人目に入ると、直近2年の「働いた月」が不足しがち
・→ 4年さかのぼる特例で救済される可能性が高い
・少しでも復帰して働く期間があると、条件を満たしやすくなる
「扶養に入るともらえない」って本当?よくある誤解
「育休中に夫(妻)の扶養に入ると、給付金がもらえなくなるの?」という質問もよくあります。ここは混同しやすいので整理します。
結論、育児休業給付金は、配偶者の扶養に入っても受け取れます。育休給付金は非課税(税金がかからないお金)で、税法上の扶養(配偶者控除)の判定に含める所得にはなりません。また健康保険の扶養についても、育休給付金は収入と見なされない運用が一般的です(保険者によって扱いが異なる場合があるため、加入先の健康保険にご確認を)。
混同されがちですが、「扶養に入るともらえない」と言われるのは、多くの場合会社が独自に支給する「扶養手当(家族手当)」の話。これは勤務先のルール次第で、国の育休給付金とは別物です。国の育休給付金は、扶養とは関係なく受け取れると覚えておきましょう。
そもそも国の制度?市区町村で違うの?(所管マップ)
「うちの市はどうなんだろう」と心配する方がいますが、ここはハッキリさせておきます。育児休業給付金は国(雇用保険)の制度なので、住んでいる市区町村によって金額や条件が変わることはありません。全国一律です。
混乱しやすいのは、子育てのお金には「国の制度」と「市区町村の制度」が混在しているから。下の表で整理しました。
| 制度 | 所管(どこが決める?) | 地域で差がある? |
|---|---|---|
| 育児休業給付金 | 国・雇用保険(窓口はハローワーク) | なし(全国一律) |
| 出産育児一時金 | 国・健康保険 | なし(原則一律) |
| 児童手当 | 国の制度(支給は市区町村) | 基本なし |
| 子ども医療費助成 | 市区町村 | あり(自治体で差) |
| 出産・子育て応援給付金 | 国+自治体運用 | 支給方法に差 |
つまり、「育休給付金=国/子ども医療費助成=市区町村」。育休給付金で「自分の地域は不利かも」と心配する必要はありません。申請はお勤め先を通じて、会社を管轄するハローワークに対して行います。
振込日などの個別の問い合わせは、厚生労働省・労働局では個々の状況を把握できないため、お勤め先または管轄のハローワークが窓口になります。
もらえないと分かったら:代わりの対処と2025年の新給付
育休給付金がもらえない場合でも、家計を支える手立てはあります。あわせて、2025年4月からは「もらえないと思っていた人」の選択肢を広げる新しい給付も始まりました。
もらえないときの「代わり」になる手立て
① 社会保険料の免除:育休中は、給付金がもらえなくても、申請により健康保険・厚生年金の保険料が免除されます(日本年金機構「育児休業等期間中の保険料免除」)。これは給付金とは別の制度なので、給付金が出ない人でも使えます。
② 配偶者の扶養:収入が下がるなら、健康保険・税の扶養に入ることで負担を軽くできます。
③ 自治体の出産・子育て支援:お住まいの市区町村の給付金やクーポンを確認。
④ 家計の見直し:固定費や保険を一度見直すと、収入減の時期を乗り切りやすくなります。
2025年4月スタート:手取りが増える新しい給付
「もらえない」と思っていた人にも関係する、2025年の新制度を押さえておきましょう。
| 給付の名前 | どんな制度? | ざっくり |
|---|---|---|
| 育児休業給付金 | 育休中の基本の給付 | 休業前賃金の67%(半年経過後50%) |
| 出生時育児休業給付金 | 産後パパ育休(正式名称は出生時育児休業。子の出生後8週間以内に最大28日まで取れる、パパ向けの育休)向け | 休業前賃金の67% |
| 出生後休業支援給付金(2025年4月〜) | 夫婦ともに14日以上育休を取得 等で上乗せ | +13%。育休給付と合わせ実質手取り10割相当 |
| 育児時短就業給付金(2025年4月〜) | 育休後に時短勤務で賃金が下がった人向け | 時短中の賃金の最大10% |
特に注目は出生後休業支援給付金。夫婦そろって育休を取るなどの条件を満たすと、育休給付(67%)に13%が上乗せされ、社会保険料免除・非課税と合わせて実質的に手取りの満額に近い給付になります。「育休=収入がガクッと減る」という前提が、2025年から変わりつつあります。
新給付は単体では受け取れず、育児休業給付金または出生時育児休業給付金への上乗せです。要件の詳細は厚生労働省「育児休業等給付について」をご確認ください(2026年6月時点)。
【補足】もらえる場合、いくら受け取れる?(計算例・上限)
「自分はもらえそう」と分かったら、次に気になるのが金額ですよね。育休中の給付がいくらになるか、厚生労働省の資料をもとに具体例で見てみましょう。
基本の計算式
給付額は、おおまかに次の式で決まります。休業開始時の給与日額 × 育休の取得日数 × 支給率。支給率は、育児休業給付金が67%(育休開始から181日目以降は50%)、2025年新設の出生後休業支援給付金が+13%です。
計算例:月給30万円の人が28日育休を取った場合
夫婦で育休を取るなどの条件を満たし、出生後休業支援給付金が上乗せされるケースです。
月給30万円・28日間の育休(給与日額=300,000円÷30日=10,000円)
給与とほぼ同じ手取り(実質10割相当)になるのは、育休中は社会保険料が免除され、給付金が非課税だから。普段の給与から引かれる社会保険料や税金が、給付金からは引かれないぶん、額面の80%でも手取りでは満額に近くなる仕組みです。
注意:給付には「上限額」がある
給与が高い人は、給付額がそのまま増えるわけではなく、上限が設けられています。給与日額には上限(令和7年8月1日時点で16,110円。毎年8月1日に改定)があり、これを超える人は上限額で計算されます。
例:月給51万円の人
給与日額は 510,000円 ÷ 30日 = 17,000円ですが、上限16,110円を超えるため、16,110円で計算されます。「休業前の給与がそのままベースになるとは限らない」点に注意しましょう。
上限額は毎年8月1日に改定されます。最新額は厚生労働省でご確認ください(本記事は令和7年8月時点)。
育休中に働いて給与が出ると、減額・不支給になることも
育休中に一部働いて給与が支払われた場合、その金額によって給付が調整されます。これも「もらえない/減る」ケースのひとつなので、表で整理しておきます。
| 育休中に支払われた給与 | 育休給付金・出生時育休給付金 | 出生後休業支援給付金 |
|---|---|---|
| 休業前給与の13%以下 | 調整なし(満額) | 調整なし |
| 13%超〜80%未満 | 給与額のぶん減額 | 調整なし |
| 80%以上 | 支給されない | 支給されない |
つまり、育休中の給与が休業前の80%以上になると、給付金は受け取れません。少しだけ働く場合も、13%を超えると減額されるので、働く日数や報酬は事前に勤務先と相談して調整するのが安心です。
よくある質問(FAQ)
育休給付金の「もらえない?」にまつわる疑問に、まとめて答えます。
パートでももらえますか?
週20時間以上働いて雇用保険に加入し、加入期間の条件を満たせばもらえます。「パートだから無理」と決めつけず、給与明細で雇用保険料が引かれているか確認しましょう。
転職して1年未満でももらえますか?
前職で雇用保険に入っていた期間は、原則として通算できます(失業給付を受け取っていない等の条件あり)。直近2年で「働いた月」が12か月あれば対象になりえます。
自営業・フリーランスはもらえますか?
雇用保険に加入していないため、対象外です。ただし社会保険料の免除や自治体支援など、別の手立てを検討できます。
扶養に入ると育休給付金はもらえなくなりますか?
いいえ。国の育児休業給付金は、配偶者の扶養に入っても受け取れます。「扶養でもらえない」と言われるのは、多くが勤務先独自の扶養手当(家族手当)の話で、別物です。
2人目で「ギリギリもらえなかった」を防ぐには?
1人目から復帰せず連続で育休に入ると、直近2年の「働いた月」が不足しがちですが、最大4年さかのぼる特例で救済される場合が多いです。自己判断せずハローワークに相談しましょう。
給付金が振り込まれるのが遅いのですが?
初回は申請から数か月かかることがあります。振込日の個別照会は、お勤め先または管轄のハローワークが窓口です。
まとめ:まずは「加入期間」を確認。諦める前に相談を
育休給付金がもらえない理由の多くは、「雇用保険の加入期間が足りない」こと。とくに新卒1年未満・転職直後・週20時間未満のパートは要注意です。一方で、最大4年さかのぼる特例や、配偶者の扶養に入っても受け取れること、2025年に始まった上乗せ給付など、「もらえない」と思った人を救う仕組みもあります。
大切なのは、自己判断で諦めないこと。この記事の判定チャートで「あやしいかも」と思ったら、お勤め先か管轄のハローワークに必ず確認してください。あなたと赤ちゃんの新しい生活を、お金の不安なくスタートできますように。
▶ 妊娠・出産でもらえるお金の全体像は、妊娠したらもらえるお金まとめで解説しています。出産準備の費用が心配な方は出産準備でお金がないときの対処法もあわせてどうぞ。
【本記事について】掲載の制度・要件・金額は2026年6月時点の厚生労働省・ハローワークの公表情報にもとづきます。これらは改正される場合があり、個別の受給可否は加入状況により異なります。最終的な判断は、お勤め先または管轄のハローワーク・公式情報(厚生労働省、ハローワーク)でご確認ください。本記事は特定の給付の受給を保証するものではありません。
