こんにちは、PULMO運営事務局です。私たちは母となった女性がより輝いて生きる世の中を目指し、オンラインでさまざまなセミナーやイベントを開催しています。
今回は、保育士として14年間勤務後、ベビーマッサージの資格を取得し、現在は二児の母として活躍されている山下ゆり先生に、ベビーマッサージの基本や効果、そしてママ・パパへの温かいメッセージを伺いました。愛情あふれるベビーマッサージの世界を、山下先生と一緒にご紹介します。
講師プロフィール |
ベビーマッサージとは?愛情を育む親子の最初のコミュニケーション
ー改めて、ベビーマッサージの定義を教えていただけますか?
山下先生:ベビーマッサージは、ママやパパが赤ちゃんに優しく触れ、温かいまなざしや声かけを通して愛情を伝える、親子のコミュニケーション方法です。マッサージというよりも、触れ合う時間そのものが、赤ちゃんとママの安心感につながり、親子の絆を深められる大切な時間になると考えています。
ーいつから始められるものですか?毎日しても問題がないのでしょうか?
山下先生:ベビーマッサージは、生まれたその日から始められますよ。生後間もない赤ちゃんは、まだ言葉でコミュニケーションを取れないので、ママの温かい手で優しく触れる時間をつくると良いのではないでしょうか。
赤ちゃんとママの体調が良い時であれば、毎日行っても問題ありませんよ。日々のルーティンに取り入れると、赤ちゃんはもっとリラックスして受け入れやすくなります。
タイミングとしては、赤ちゃんのご機嫌が良いときがおすすめですね。午前中は赤ちゃんも比較的活動的で、マッサージをすれば程よい運動になります。また、寝る前にゆっくりマッサージしてあげると、赤ちゃんはリラックス効果で安心してスムーズにねんねしやすくなります。
無理せずにベビーマッサージを日常に取り入れてほしい
ー赤ちゃんが気持ちよく楽しんでくれるように、理想的な環境や必要なものがあれば教えてください。
山下先生:まずは、赤ちゃんとのコミュニケーションが取りやすい環境をつくりましょう。遊びに集中できるように、テレビは消すといいですね。赤ちゃんの肌にも優しいホホバオイルなどを用意しておくと、より滑らかなタッチでマッサージできます。
ただ、環境にとらわれすぎず、一緒に触れるという行為を楽しんでもらいたいというのが、私の考えです。もう少し大きくなったらですが、一緒にテレビを見たり、お風呂に入ったりしながらでもマッサージってできるものなので。そんなに身構えずに、日常に自然に取り入れていけると良いですね。大きくなっても、ずっと触れ合いは続けていけるものなので、年齢制限は必要ないかなと思っています。
寝かしつけにもおすすめ!便秘やぐずりの解消も期待できるベビーマッサージの効果
ーベビーマッサージは、ママと赤ちゃんにとってどんな効果を期待できるものですか?
山下先生:ベビーマッサージは、心と体の両面にたくさんの良い効果をもたらしてくれるものです。まず一番は、ママの温かい手で触れられる安心感で「ありのままの自分で愛されている」という心の土台が育まれていきます。
また、生まれたばかりの赤ちゃんにとって、自分の身体を知るということは、とても大切なことなのですが、触れることによってボディーイメージができていき、その後上手に自分の身体を使うことにつながっていきます。
また、ママの悩みで多い睡眠にも効果があります。触れてリラックス効果を高めることで、寝つきが良くなり、睡眠の質が改善される効果を期待できます。
また、お腹のマッサージは、腸の運動を促して便秘の解消にもつながります。赤ちゃんがお腹を痛がっているときや、便が出にくそうなときには、ぜひ優しくマッサージしてあげてください。その他にも、足や背中、胸など、各部位に触れてあげることで、発達が促されるなど、さまざまな効果を期待できますよ。
足から全身が基本!愛情が伝わるタッチの基本的なやり方

全身をやさしくマッサージ
ーベビーマッサージの基本的なやり方を教えてください。
山下先生:流れとしては、足から始めて、徐々に上半身へと進んで、全身をマッサージしていきます。赤ちゃんにとって、触れられることに慣れている足は、リラックスしてマッサージを受け入れやすい部位なので、マッサージを初めてする赤ちゃんには足からがおすすめです。
まず、赤ちゃんの足の裏を優しくなでて、足の指を一本ずつ優しくマッサージします。足が終わったら、お腹、胸、背中、そして最後にお顔へと進みます。胸は、中心から外側に向かって、手のひらで優しく開くようにマッサージします。お顔のマッサージは、とてもデリケートな部分なので、赤ちゃんのご機嫌を見ながら進めましょう。全身に触れられるのは、赤ちゃんのときならではのメリットですね。
ーそれぞれの部位のポイントはありますか?
山下先生:そうですね。部位ごとには、それぞれのポイントがあります。
足:歩けるようになれば全身を支えることになる足は、木で例えると根の部分に当たります。足の裏側をしっかり刺激して、ママの手でサポートしてあげましょう。
お腹:ストレスはお腹に出やすいので、便秘や疲れがガスになってたまっているときには、優しくなでてあげましょう。便秘の改善だけではなく、ご機嫌が良くなるかもしれません。
胸:胸腺を刺激することで免疫力アップを期待できます。まだ赤ちゃんは深呼吸ができないので、胸を広げるようになでて、深い呼吸でリラックスさせてあげましょう。
背中:ねんねの状態が多かったり、そり返りなどで赤ちゃんの背中は固くなっていたりすることも多いです。優しくなでて緊張をほぐしてあげましょう。体を動かしやすくなりますよ。
顔:ごく軽いタッチで、赤ちゃんの表情を見ながら行いましょう。離乳食が始まる前の準備としてもおすすめです。
不調のときには心のサポートを大切に
ーNG行為やトラブルのある赤ちゃんへの配慮について知りたいです。
山下先生:風邪気味の時やぐずる時、体調が優れない時は、無理してやらなくていいと思っています。もしするなら、胸をなでてあげたり、鼻水が出ていたら鼻の横をなでて通りを良くしてあげたりするとラクになるかもしれません。それよりも赤ちゃんに触れて安心させてあげる、心のサポートを大切にしましょう。ぐずっているときにはさするだけでも十分ですよ。
早産児や障がいのある赤ちゃんにベビーマッサージをしたいママは、まず医師に相談してください。触れることは赤ちゃんにとって良い感覚の刺激になるので、問題ないようでしたら少しずつ取り入れていただくと良いと思います。
育児の自信につながる!ママ・パパにもたらすベビーマッサージのメリット
ーベビーマッサージを通じてママが感じられるメリットは何がありますか?
山下先生: ベビーマッサージでは、ママも赤ちゃんに触れられていますよね。その触れ合いという行為は、ママにとって大きな意味を持つものなのです。赤ちゃんの柔らかさや、むちむちとした感触を味わうと、ママの中に安心感や愛おしさが自然と湧き上がってくるのです。
私自身もベビーマッサージを育児に取り入れ、触れるという行為にすごく支えられたと感じています。そして、それは育児への自信にもつながっていったように思います。
情報に振り回されず育児に自信を持つことも
やっぱり、赤ちゃんがかわいいなと思うと、またベビーマッサージをしてあげようという気持ちが自然と湧いてきて、幸せな循環が生まれていくんですよね。それに、ベビーマッサージを通して、赤ちゃんをよく見る時間が増えると、些細な反応や個性がわかるようになってきます。
現代は育児に関する情報がたくさん溢れていて、どうしても周りの情報に惑わされがちです。でも、ベビーマッサージを通して、わが子をじっくりと観察する時間を持つことで、他の情報に振り回されることなく、ありのままの我が子の姿を見つめられるようになっていって。それは、ベビーマッサージの大きな効果だと感じています。
ーパパにも協力してもらうとき、どんなところに気を配ってもらうべきでしょうか?
山下先生:パパは、ママのように「妊娠」という準備期間があるわけではなく、お子さんが生まれてから、気持ちひとつでパパになりますよね。そういった意味で、赤ちゃんに触れる感覚を掴むのに、少し時間がかかるかもしれません。
でも、ベビーマッサージを通じて触れ合えば、パパになったという実感が湧き上がり、お子さんが生まれた喜びをより深く感じられるようになると思います。
パパは、外で一生懸命仕事をして、いろいろなストレスを抱えていることもあるでしょう。そんななかで、ベビーマッサージは赤ちゃんだけでなく、触れるパパ自身の気持ちを癒す効果も期待できます。
赤ちゃんにとっては、パパに触れてもらうことで、社会性が育まれていくという側面もあります。ママという最初の安心できる存在だけでなく、パパという異なる存在との触れ合いは、赤ちゃんの世界を広げる良い機会になるのです。ベビーマッサージを遊びのひとつとして、少し動きのあるものを取り入れてもらうと、ママとは違う発見がありますよ。
「marina」が地域のママをつなぐ!孤立しない育児をサポート
ー先生が運営されているベビーマッサージ教室「marina」はどんなところですか?
山下先生:ベビーマッサージ教室「marina」では、母子支援を大切に、産後ママの心に寄り添うレッスンを心がけています。ホルモンバランスの乱れや育児への不安から自信をなくしがちなママたちが、誰にも頼れず一人で頑張ってしまう状況を変えたいというのが私の願いです。
レッスンでは、私自身がママの味方となり、ありのままの赤ちゃんを受け入れる温かい雰囲気づくりを大切にしています。安全で安心して過ごせる空間となるように、おもちゃの安全性や衛生面にも気を配り、ママが「ここにいると元気が出る」「癒される」と感じてもらえるような教室にしていきたいですね。
ママが自然と赤ちゃんに温かい眼差しを向けられるように
ーレッスンで印象に残っているエピソードを教えてください。
山下先生:レッスンで印象に残っているのは、初めての育児で周りの赤ちゃんと比べてしまい、発達の遅れを心配されていたママの変化です。レッスンを重ねるうちに、赤ちゃんのゆっくりとした成長も個性としてかわいらしく思えるようになり、一人で悩んでいた辛い気持ちが、他のママとの交流を通して楽になったと話してくださったことが、本当にうれしかったです。子どもを「正解」に当てはめるのではなく、その子らしく育てる環境を作っていきたいです。
ママ同士が大変な時に「大変だ」と言える雰囲気づくりを心がけ、頑張っているママが近くにいることで、励まし合ったり、癒し合ったりできるような、そんな交流の場を提供していきたいと思っています。自分の気持ちを話せる安心感が、育児を前向きにする力になると信じています。
愛情込めたマッサージで赤ちゃんとの絆づくりを

親子のかけがえのない絆づくり
ー最後にこれからベビーマッサージを始めようと考えているママへのメッセージをお願いします。
山下先生:子育てをしていると、本当にあっという間に時間が過ぎていきます。特に赤ちゃんとの時間は、二度と戻らないかけがえのない宝物です。
大変な毎日の中で、自分の時間を持つことさえ難しいと感じることもあるかもしれません。でも、後から振り返ったとき、「もっと抱っこしてあげればよかった」「あの時の感触をもう一度味わいたい」と感じるのではないでしょうか。
ベビーマッサージは、そんな貴重な赤ちゃんとの触れ合いの時間を、より温かいものにしてくれるものです。テクニックよりも、愛情を込めて触れることそのものが、赤ちゃんにとって最高の贈り物になるのですね。
初めてベビーマッサージをするときは、少し緊張するかもしれませんが、焦らず、赤ちゃんのペースに合わせて短い時間から始めてみてください。きっと、これまで以上に赤ちゃんの笑顔や愛らしさを発見できるはずです。
温かく、柔らかい口調でお話をしてくれる山下先生のお言葉は、育児で気が張り詰めているママも優しく包み込んでくれる印象を受けました。赤ちゃんのためだからと頑張りすぎず、日常に少しずつ取り入れて、ママと赤ちゃんのコミュニケーションの機会をつくっていきたいものですね。山下先生、本当にありがとうございました。
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