えるぼし認定とは?【2026年最新】63,099社データで分かった認定企業の実態

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転職を考えるとき、「えるぼし認定」という言葉を目にすることが増えてきました。でも、「マークがついていれば本当に働きやすいの?」「段階によって何が違うの?」と疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。

PULMO編集部では、厚生労働省が公開している63,099社分のオープンデータを独自集計しました。えるぼし認定企業と非認定企業の管理職女性割合・育休取得率・男女賃金格差を比べると、思わぬ事実が見えてきます。「認定があれば賃金格差も小さいはず」——実はこれ、データでは支持されません。その理由と合わせて、転職に活かせる見方を解説します。

えるぼし認定とは

えるぼし認定とは、女性活躍推進法に基づき、女性の活躍推進に取り組む優良企業を厚生労働大臣が認定する制度です。2016年の女性活躍推進法施行と同時にスタートしました。

「えるぼし」という名称は「女性(L)」と「星(star)」を組み合わせた造語で、「さまざまな場で活躍し星のように輝く女性へのエール」という意味が込められています(出典:厚生労働省 女性活躍推進法特集ページ)。認定企業は求人票や商品・広告にえるぼしマークを使用できます。

認定の3段階

えるぼし認定は、以下5つの評価項目を何項目達成するかで段階が決まります。

段階 達成項目数 位置づけ
認定段階1(星1つ) 1〜2項目 取り組みを始めている
認定段階2(星2つ) 3〜4項目 一定の実績がある
認定段階3(星3つ) 5項目すべて 最高水準の取り組み
プラチナえるぼし 段階3+目標達成 特に優良な企業

5つの評価項目を詳しく解説

えるぼし認定の5つの評価項目には、それぞれ具体的な数値基準が設けられています。求人票に「えるぼし認定」と書かれている企業が、実際にどんな観点で評価されているかを知っておくと、転職時の判断材料になります。

1. 採用——男女で採用のされやすさに差がないか

男女別の採用倍率(応募者数÷採用者数)が同程度であること、または採用者に占める女性の割合が産業ごとの平均値以上であることが基準です。具体的には、女性の競争倍率×0.8が男性の競争倍率より低いこと(女性の方が採用されにくくなっていない)が求められます。「女性の応募を集めているか」よりも「応募してきた女性をきちんと採用しているか」を見る項目です。

2. 継続就業——女性が辞めずに働き続けられているか

女性の平均勤続年数が男性の7割以上であること、または採用10年前後の継続雇用割合(女性÷男性)が8割以上であることが基準です。「入社しても結局すぐ辞めてしまう会社」では基準を満たせません。育休復帰後の継続率や、結婚・出産後の離職率が高い企業はこの項目で落ちやすい傾向があります。

3. 労働時間等の働き方——残業が常態化していないか

雇用管理区分ごとに、法定時間外労働と法定休日労働の合計時間数の平均が、直近事業年度の各月すべてで45時間未満であることが基準です。月単位での評価のため、繁忙期だけ突出して残業が多い会社も基準から外れます。「過労死ライン(月80時間)を下回ればOK」というレベルではなく、より厳しい水準が求められています。

4. 管理職比率——女性が管理職に登用されているか

管理職に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値以上であること、または直近3事業年度の一つ下の職階から課長級への昇進率が「女性÷男性で8割以上」であることが基準です。業種ごとに基準値が違うのがポイントで、例えば情報通信業と医療業界では求められる水準が異なります。製造業のように女性管理職が少ない業界でも、業界平均を超えていれば達成可能です。

5. 多様なキャリアコース——働き方を変えられる仕組みがあるか

直近3事業年度で、以下の項目のうち大企業は2項目以上(非正社員がいる場合はAを必ず含む)、中小企業は1項目以上の実績があることが基準です。

  • A:女性の非正社員から正社員への転換実績
  • B:女性労働者のキャリアアップにつながる雇用管理区分間の転換
  • C:過去に在籍した女性の正社員としての再雇用
  • D:おおむね30歳以上の女性の正社員としての採用

育休からの復帰や、結婚・出産で一度退職した女性が再びキャリアを築ける制度があるかを見ています。働き続け方の選択肢が用意されているかという、ライフステージの変化に対応する仕組みの評価です。

補足:これら5項目に加えて「事業主行動計画の策定・届出」「外部公表」「労働関係法令の重大な違反がないこと」が共通の前提条件です。労働基準法や男女雇用機会均等法に違反すると認定が取り消されます(出典:厚生労働省 女性活躍推進法特集ページ)。

プラチナえるぼしとは

えるぼし認定(段階1〜3のいずれか)を取得した企業のうち、5項目すべてをさらに高い基準で満たし、かつ行動計画の目標を達成した企業が認定を受けられる最高位の認定です。2020年6月に創設されました。

えるぼしプラスとは(2026年新設)

2025年12月の改正により、職場における女性の健康支援に取り組む企業を認定する「えるぼしプラス」が2026年に新設されました(出典:厚生労働省 女性活躍推進法特集ページ)。更年期・月経・不妊治療などへの職場対応を評価する仕組みで、従来のえるぼし認定に上乗せして取得できます。「働きながら体のケアができる職場かどうか」を新たな軸として評価するもので、今後注目が高まる認定です。

くるみん認定との違い

転職活動でえるぼしと並んでよく目にするのが「くるみん認定」です。どちらも厚生労働省による認定ですが、根拠となる法律も見ている内容も異なります。

えるぼし認定
  • 根拠法:女性活躍推進法
  • 焦点:女性のキャリア形成
  • 主な指標:管理職女性割合・採用比率・継続勤務年数
  • 「管理職になれるか」に強い
くるみん認定
  • 根拠法:次世代育成支援対策推進法
  • 焦点:仕事と育児の両立(男女共通)
  • 主な指標:育休取得率・所定外労働時間
  • 「育休が取りやすいか」に強い
比較ポイント えるぼし認定 くるみん認定
管理職登用の評価 評価項目に含まれる 直接は評価しない
育休取得の評価 直接は評価しない 中心的な評価軸
男性も対象か 主に女性 男性育休取得も評価
最上位認定 プラチナえるぼし プラチナくるみん

「管理職になりたい・キャリアアップしたい」ならえるぼし認定段階3を、「育休をしっかり取りたい・育児との両立を重視したい」ならくるみん認定を重点的に確認するのが合理的です。両方取得している企業は今回の集計で1,417社あり、特に手厚い環境が期待できます。

【独自集計】63,099社のデータで分かったこと

厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」のオープンデータ(2026年5月20日時点、63,099社)を独自集計しました。企業の自己申告データですが、このボリュームでの集計は他に公開されていません。

3,857社えるぼし認定企業
(全体の6.3%)
2,613社うち段階3
(5項目すべて達成)
520社上場企業のうち
えるぼし認定取得
1,417社えるぼし+くるみん
両方取得

全登録企業のうちえるぼし認定を取得しているのは6.3%。女性活躍推進法の行動計画を策定・届出している企業の中でも、認定を取得しているのは少数派です。

発見1:認定企業の管理職女性割合は8ポイント高い

独自集計データ

えるぼし認定企業の管理職女性割合は平均28.3%——非認定企業(20.1%)より8ポイント以上高い
えるぼし認定企業28.3%管理職女性割合(平均)
認定なし企業20.1%管理職女性割合(平均)
えるぼし段階別 管理職女性割合(平均)

20.1%認定なし8.4%段階124.1%段階230.9%段階3

出典:厚生労働省 女性の活躍推進企業データベース(2026年5月、独自集計)

段階が上がるほど数値も上昇します。段階3では平均30.9%と、認定なし企業(20.1%)より10ポイント以上高くなります。一方で段階1は8.4%と非認定企業より低く、「えるぼし認定 = 管理職になりやすい」は段階3に限った話といえます。転職先を選ぶ際は段階の確認が必須です。

発見2:育休取得率は認定企業でほぼ100%に近い

独自集計データ

女性育休取得率は認定企業で95.9%——非認定企業(83.1%)と約13ポイントの差
えるぼし認定企業95.9%女性育休取得率(平均)
認定なし企業83.1%女性育休取得率(平均)

えるぼし認定企業では女性の育休取得率が平均95.9%と、ほぼ全員が取得できている水準です。さらに段階3の企業では男性育休取得率も平均65.9%と、情報通信業の業界平均(約38%)を大きく上回っています。

発見3:賃金格差は認定の有無とほぼ無関係(重要)

独自集計データ

男女賃金格差は認定企業72.6% vs 非認定72.3%——ほぼ差がない
えるぼし認定企業72.6%男女賃金格差(女性÷男性)
高いほど格差が小さい
認定なし企業72.3%男女賃金格差(女性÷男性)
高いほど格差が小さい
注意点:えるぼし認定を取っていても賃金格差は縮まらない

えるぼし認定の5項目に「男女の賃金格差」は含まれていません。そのため、認定企業と非認定企業の差はわずか0.3ポイントと、統計的にほぼ意味のない差です。賃金格差が気になる場合は、えるぼし認定の有無ではなく、各企業が公表している「男女の賃金の差異」の数値を女性活躍推進企業データベースで直接確認することが必要です。

発見4:勤続年数の男女差が小さい

独自集計データ

男女の平均勤続年数差は認定企業1.6年——非認定(2.3年)より0.7年小さい
えるぼし認定企業1.6年男女勤続年数差(男性−女性)
認定なし企業2.3年男女勤続年数差(男性−女性)

「入社後も長く働き続けられるか」を示す指標として、男女の平均継続勤務年数の差があります。認定企業では1.6年差と、非認定企業(2.3年差)より小さくなっています。管理職女性割合や育休取得率と合わせて、長期的に働ける環境かどうかを判断する軸になります。

主要指標のまとめ

指標 えるぼし認定企業 認定なし企業
管理職女性割合 28.3% 20.1%
女性育休取得率 95.9% 83.1%
月平均残業時間 11.9時間 12.8時間
有給休暇取得率 74.4% 71.6%
男女賃金格差 72.6% 72.3%
男女勤続年数差 1.6年 2.3年

業種別・規模別の実態

えるぼし認定企業を一括りで見るとミスリードにつながります。業種・企業規模・地域によって、認定率も実際の数値も大きく異なるためです。ここでは「自分が転職を考えている業界・地域はどの位置にあるか」を把握するためのデータを見ていきます。

業種によって認定率は最大40倍の差がある

業種別えるぼし認定率(主要業種)

金融業・保険業25.9%化学工業17.9%情報通信業16.8%学術研究・技術16.3%電気・ガス・水道12.3%建設業5.2%卸売・小売業4.9%医療・福祉4.5%宿泊・飲食2.2%運輸業・郵便業2.1%農業・林業0.6%

出典:厚生労働省 女性の活躍推進企業データベース(2026年5月、独自集計)

認定率が最も高い金融・保険業(25.9%)と最も低い農業・林業(0.6%)では40倍以上の差があります。情報通信業(16.8%)・化学工業(17.9%)も高水準である一方、運輸・飲食・農業は低い傾向です。

えるぼし認定企業でも業種によって管理職女性割合は全く違う

業種別 管理職女性割合(えるぼし認定企業のみ)

医療・福祉61.8%教育・学習支援54.5%生活関連サービス39.6%サービス業37.9%情報通信業22.8%金融業・保険業21.7%建設業15.9%輸送用機械製造8.6%鉄鋼・金属製造6.6%

出典:厚生労働省 女性の活躍推進企業データベース(2026年5月、独自集計)

えるぼし認定企業の中でも、管理職女性割合は業種によって6.6%〜61.8%と大きく異なります。医療・福祉や教育はもともと女性比率が高い業界のため自然と高くなります。製造業(特に重工業系)はえるぼし認定を持っていても一桁台というケースがあり、認定の有無だけでなく実際の数値も確認することが大切です。

大企業ほど認定率が高い

企業規模別 えるぼし認定率

35.4%5001+20.6%1001-50009.9%501-10005.9%301-5004.3%101-3006.8%10-1001.0%10未満

出典:厚生労働省 女性の活躍推進企業データベース(2026年5月、独自集計)

5,001人以上の大企業では3社に1社以上(35.4%)が認定取得。上場企業2,239社に限ると520社(23.2%)が認定を持っています。中小企業(101〜300人)は4.3%と低く、認定取得のための人的リソースの差が出ています。

都道府県別の認定率格差

都道府県 えるぼし認定率 認定企業数
東京都 12.2% 1,803社
新潟県 9.1% 91社
山形県 7.5% 37社
徳島県 7.2% 17社
高知県 7.0% 22社
三重県 1.9% 20社
大分県 1.8% 8社
愛媛県 1.0% 11社

新潟・山形が認定率で上位に入っているのは、両県が独自の企業認定制度を設けていることが背景にあります。新潟県は「えるぼし認定取得に向けたアドバイザー派遣」を行い、県建設工事入札参加資格審査での加点も設けています(出典:新潟県ホームページ)。山形県は独自の「やまがたスマイル企業認定制度」でワーク・ライフ・バランスに取り組む企業を認定しており、えるぼし認定取得と連動した支援を行っています(出典:山形県ホームページ)。地方でも行政が積極的に後押ししている地域では認定率が高くなるという実態が、このデータに表れています。

えるぼし段階3の注目企業

えるぼし段階3かつ5,001人以上の大企業(139社)の中から、データが際立つ企業の実際の取り組みを紹介します。

花王株式会社
化学工業
管理職女性割合 28.7%男女賃金格差 90.8%えるぼし 段階3

管理職女性割合28.7%は製造業として高水準ですが、特筆すべきは男女賃金格差90.8%という数値です。女性の賃金が男性の90%以上という水準は大手製造業では異例といえます。「女性の活躍なしに成長はない」という方針のもと、1991年から育休前・復帰前の三者面談制度を継続。2016年以降、女性リーダー育成プログラムへの参加者62名のうち31名が管理職に登用されています(出典:花王サステナビリティサイト)。2030年までに「女性社員比率に対する女性管理職比率100%」を目標に掲げています。

株式会社東横イン
宿泊業・飲食サービス業
管理職女性割合 97.0%男女賃金格差 100.1%えるぼし 段階3

管理職女性割合97.0%、男女賃金格差100.1%(女性の方がわずかに高い)という数値が際立ちます。ホテル業界で女性が多数を占める職場ならではのデータですが、えるぼし認定率が全体2.2%にとどまる宿泊業の中で段階3まで取得している点は評価できます。

パーソルキャリア株式会社
サービス業(人材)
管理職女性割合 35.4%男女賃金格差 78.7%えるぼし 段階3

転職支援サービス(doda)を運営する企業として、自社の女性活躍推進にも力を入れています。管理職女性割合35.4%はサービス業の認定企業平均(37.9%)に近い水準。転職サービスの利用を検討している方にとって、「転職先として使うサービスを運営する企業がどう取り組んでいるか」は一つの参考になります。

※上記データは厚生労働省 女性の活躍推進企業データベース(2026年5月時点)の各企業公表データに基づきます。

転職でえるぼし認定を活用するときの注意点

えるぼし認定は転職先選びの判断材料として有効ですが、「マークがついているから安心」と表面的に見るだけでは見落としが生まれます。今回の63,099社データから見えてきた、認定企業を見るときに押さえておきたい4つのポイントをまとめます。

認定段階を必ず確認する

段階1と段階3では実態が大きく異なります。管理職女性割合の平均は段階1が8.4%、段階3が30.9%と約4倍の差があります。求人票に「えるぼし認定」とだけ記載されている場合は段階の確認が必要です。

業種の「ベースライン」を差し引いて見る

医療・福祉や教育はもともと女性比率が高い業界のため、えるぼし認定なしでも管理職女性割合が高いことがあります。逆に、製造業でえるぼし段階3を取っている企業は業界水準を越えた努力をしているサインです。認定の有無より「その業界の中でどの位置にいるか」を見ることが大切です。

賃金格差は個社の数値を直接確認する

えるぼし認定の5項目に「男女賃金格差」は含まれていません。今回の集計では認定企業と非認定企業の差が0.3ポイントしかなく、認定だけで格差の是正は保証されません。女性活躍推進企業データベースで各企業の「男女の賃金の差異」欄を直接確認することをおすすめします。

データの公表年度を確認する

データベースの数値は企業の自己申告で、更新タイミングにばらつきがあります。「データ集計時点」の年度が古い場合は、採用担当者に最新数値を確認するのが確実です。

えるぼし認定企業の探し方

厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」では、業種・都道府県・企業規模・認定段階で絞り込み検索ができます。転職エージェントに「えるぼし段階3取得企業を希望」と伝えると候補を絞り込んでもらいやすくなります。

この記事のまとめ

  • えるぼし認定は3段階あり、段階3(5項目すべて達成)が最も信頼できる指標
  • 認定企業の管理職女性割合は平均28.3%で、非認定(20.1%)より8ポイント高い
  • 女性育休取得率は認定企業95.9% vs 非認定83.1%
  • 男女賃金格差は認定の有無とほぼ無関係——個社データを必ず確認
  • 業種によって認定率は最大40倍の差。金融・情報通信が高く、運輸・飲食は低い
  • 認定企業でも業種によって管理職女性割合は6.6%〜61.8%と大きく異なる
  • 大企業(5,001人以上)の認定率は35.4%と高く、上場企業の23.2%が取得済み
  • 新潟・山形など行政が積極支援している地域では地方でも認定率が高い
  • 2026年新設の「えるぼしプラス」(女性の健康支援)も今後注目の認定
PULMO編集部

ママ向けオンラインコミュニティ「PULMO」編集部です。子育てに役立つ情報を、お届けします。

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